自分の結婚相手も含めた既婚女性に対して男性が軽いノリで使いがちな「嫁」という呼び方。問題あります、と甘糟りり子が切り込む。

 

時々、自分が結婚した女性のことを「嫁」と呼ぶ男性がいるけれど、あれがどうにもこうにも苦手だ。すてきだなあと思っていた人が「うちの嫁がね……」なんていうと、勝手にがっかりする。

 

そもそも「嫁」というのは、三省堂の辞書によれば「息子の妻として、その家族に迎え入れられる女性」である。嫁と呼んでいいのは、本来、結婚した息子の父親及び母親だけなのだ。しかし、この嫌悪は、言葉を正しく使っていないから、ということだけによるのではない。なんというか、もうちょっと生理的なものである。辞書によっては「嫁」の解釈を広げている場合もあるにはあるけれど、結局根っこはこの発想なのだ。

 

このページ担当の編集者によればテレビの中の芸人と括られる人たちによって普及したらしい。なるほどね。

 

まったく個人的な独断と偏見でいわせてもらえば、「うちの嫁が」には、時代錯誤な男尊女卑やら過剰な上下関係やら、カビ臭い価値観がたくさん染み込んでいる気がする。女に家を背負わせるという漢字の成り立ちをそのまま、平成29年の今でも平然とやってしまう、もしくはそれを理想としている人たちの言葉づかいだ。だって、これ、対等なはずの結婚相手をお舅さんやお姑さんと同じ上から目線で呼んでいるのである(お舅やお姑は上からでいいのかという議論は、ひとまず置いときます)。

 

自分の配偶者を「嫁」と呼ぶだけでなく、友人の配偶者まで「誰某の嫁が」なんていう感覚は私にはよくわからない。

じゃあ、配偶者をなんと呼ぶのがスマートなのだろうか。

 

わりと年配の方が「女房」なんていうのは、ちょっといいなあと思う。トラッドな感じがして。でも、まあ、女房という言葉は年齢によってはとってつけたようにもなる。気後れするなら「家内」はどうだろうか。

 

これらの言葉も辞書で引いてみると、「女房」とは「古くは宮中の官女や貴族の待女を指し、後、広くは庶民の妻を指す言葉」とあった。官女や待女から派生しているとは意外だった。

 

「家内」は、「その家で生活する人(全員)、狭義では主人の妻」なので、正統派な印象のわりに無難な言葉使いだ。*後で別の角度から述べたいことはありますが。

 

無難中の無難といったら「妻」。辞書にも「その人と結婚している女性」とだけある。「愚妻」は、「自分の妻の謙称」だ。今時、CMで「うちの愚妻が」なんて台詞が出てきたら、即炎上だろうけれど、個人的には嫌いではない。きちんと対等な関係を築いている夫婦だとしたら、互いの距離感の近さから身内を謙譲するのは一つのスタイルだし、日本語らしい余韻だとも思う。

 

と、このように、私はかなり保守的で、大してフェミニズム志向でもない。そんな私でも、愚妻は気にならない私でも、やっぱり「うちの嫁」はどうしても受け付けられない。たとえ対等な関係の夫婦であったとしてもだ。髪の毛をかき上げながら「ワイフがさあ」の方がまだマシ。

 

そういえば、はるか昔1990年のこと。ポール・マッカートニーを見に東京ドームに行った。バックバンドには当時の彼の配偶者であるリンダ・マッカートニーがいて、天下のポールはメンバー紹介の際、「ウチ、ノ、カミサーン!」と叫んでいた。 あれが「ヨメサーン」じゃなくて良かったなあ。

 

ちなみに、「奥さん」は三省堂の辞書では「他人の妻に呼びかけるのに用いられる用語」だそう。最近は、自分の配偶者のことを「奥さん」と呼ぶ人も少なくない。勝手な推測だけれど、妻という響きがこそばゆい人が使っている印象だ。

 

ところで、女性の伴侶を指す呼称だけではなく、男性の伴侶を呼ぶ場合もけっこう難しい。私は、ついうっかり「誰某さんのご主人」などといってしまうのだが、これに嫌悪を示す女性は多い。だって、「主人」なんて明らかに対等じゃないし、主従関係を示す言葉だもんね。エラそーに「うちの嫁」批判をしてきたけれど、説得力がなくなってしまう。まずい……。三省堂の「家内」の記述には「主人の妻」とあるけれど、近いうちに書き直されるのではないだろうか。

 

かといって、「旦那」や「夫」は妻が呼ぶのはいいけれど、他人が使うのは厚かましい気がする。若い女性のブログでは「ダンナさん」という呼称をよく見かけるけど、「旦那」に「さん」をつけるのは抵抗がある。奥さんを名前で呼ぶくらいに親しければ、夫のことは苗字にさん付けで呼んでいるのだけれど、奥さんを苗字で呼ぶ距離感の場合、もしくは奥さんが旧姓で仕事をしていて夫の苗字を忘れてしまった場合は、もう打つ手がない。焦るあまり、つい「ご主人」が口をついて出てしまうのだ。何かいい呼称はないものだろうか。

 

甘糟りり子 作家。アパレルメーカーを経て文筆業に。バブル時代の空気を切り取るリアルなタッチは自他ともに認めるところで、ファッションや食、クルマ、スポーツには一家言ある。2月27日に『産まなくても、産めなくても』(講談社)を刊行した。


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名無しさん
女性ですが、嫁さんで全然良いと思う。
鳴海荘吉
夫婦お互いが納得してれば別に何でもよくね?
名無しさん
配偶者とでも呼んどけばいい。
性別にかかわらずに使える。
名無しさん
なら、お前は「お前」とでも呼ばれるのか?
なんでも差別か。
いいね、単純な脳を持って生まれて(笑)
名無しさん
昔とは意味合いが変わってきてると思うがな
名無しさん
こういう事を言う女が大嫌いです。
景気よよくなれ
>官女や待女から派生しているとは意外だった。

いや、それは君にまともな知識が無いだけだから。
古典をちょっとでも読めばいくらでも出てくる。
そんなことも知らないでよく文筆業とかプロフィールに書けるなあ。
記事書いていて恥ずかしくないだろうか?
この人が自分の妻だったら、
「嫁」でも「妻」でも「女房」でも「家内」でもなく、
「このバカ」と呼びたくなるかもしれない。
名無しさん
そんなことより、自分の連れ合いを紹介するのに、奥さんとさん付けする馬鹿が多すぎる。
名無しさん
縄文や弥生時代は知らないが、有史以来つい数十年前まで、男女には社会的な上下関係があったわけで、その言葉が残存しているのは仕方ないじゃない。というか、もう、あまり「語源」の意味はないと思うけど。
奥さん、家内、主人、旦那は上下関係だからって、パートナーと言う人がいるけど、変な外来語使って日本語乱さないでほしい。
名無しさん
夫婦で話し合えばいいじゃん。
外でなんて呼んだらいい?って。
俺は「主人」は嫌だよって言ったら「旦那」になり子供が産まれたら「パパ」になった。
妻のことはいつの頃からか自然に「かみさん」で定着してたので事後承諾みたいになった。
話し合おう、夫婦で。
その夫婦が良しとした呼び方ならそれでいいじゃん。
nk16
東京住み。
関西文化が浸透してくるのが不快です。
列に割り込んでくるのも某国の人か関西訛りの人がほとんどだし。
名無しさん
後半の話は、「旦那さん」でよいと思う。
名無しさん
まあ、どうでもいいと言えば
どうでもいい話
dkr35
うちの嫁が、って嫌ですね。配偶者の悪口を言うのも嫌だけど、ノロケも嫌ですね。夫が、妻が、っていうのも聞いててヨソヨソしいですね。本当は嫌いで、しょうがなく立場上言っている、みたいな感じがします。
名無しさん
嫌です。
名無しさん
こういうのはブログとかに載せろよな。
名無しさん
ヨメという大和言葉に、家にいる女といった意味はあるのか?嫁という文字を便宜的に使っているだけでしょう?ムスコの配偶者といった意味も派生的なものかと。
名無しさん
愚妻が良くて嫁がダメと言うのがよく分からん。
riho1111
ほんと人それぞれ呼び方があるからいちいち気にならないけど「うちの旦那さんが」「うちの旦那様が」というのだけは確かに気になる。前者はバカっぽい、後者はいつの時代?って思う。
名無しさん
そんな事は自分の頭の中で思ってなさいな。
いちいち記事にすんなし。
名無しさん
俺は嫁のことを妻と言い、妻は自分のことを嫁と言う。
課長
気にしすぎ
名無しさん
人前で自分の夫を、旦那さんと呼ぶ人に違和感。
なんて呼ぶか、こちらも迷う。
名無しさん
自分は愛情を持って「嫁さん」と言っていますが、何か問題でも?


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大前くん100点!
>バブル時代の空気を切り取るリアルなタッチは自他ともに認めるところで、
意味が分からん。もちろん記事も面白くない
名無しさん
母親をお袋っていうのが抵抗感強い
名無しさん
関西は嫁はん
名無しさん
言葉は時代で変化するものだから、昔の意味を持ってきても仕方ないと思います。
「嫁さん」って言い方、素敵だと思いますよ。
「妻」も全然悪くないんだけど、「嫁さん」のほうが可愛い感じがして言い易いです。「妻さん」は変だし、妻って呼び捨てにするのが気が引けちゃう。
「ワイフ」はないかな。逆にワイフなんて聞いたらちょっと引いちゃうかも。
旦那さんの事を「旦那」と呼び捨てにするのはいかがなものかと。
「主人」というのは、上下関係があって主人と言ってるわけないので、夫を立ててくれてる感じがして良いと思います。
あくまで個人的な意見ですけど、人それぞれじゃないでしょうか。
名無しさん
筆者は言葉狩り言論統制をしたいのかな
名無しさん
「僕のワイフが」なんて言ってたのは、
天下の悪党三浦かずよしくらいだ。
名無しさん
男が上で女が下、というニュアンスを持たないのは「妻」ぐらいかな。
あと、みんなが嫌ってる「相方」と、母じゃないけど「かあちゃん」。
いずれも、よその配偶者さんを表すときに適切な表し方がないのが困る。
名無しさん
>「勝手にがっかりする。」「個人的な独断と偏見」
そうだね。分かってるなら、チラシの裏にでも書いてろよ。
ユメタマ
問題ねーよ。続けて結構。
以上
名無しさん
わが家の場合
夫と結婚した時、
会社や役所などでは、主人
プライベートでも親しくない関係なら、夫
親しい友人には、旦那
親戚関係では、〇〇さん。
夫は
会社や役所などでは、妻
プライベートでも親しくない関係なら、家内
親しい友人には、こいつとか、あいつとか

子供が産まれてから
夫が私の呼び方を、妻でない場合は全て
「うちのかぁちゃん」に変わった……。
最初は、かかあ天下ってそんなに主張したいか!?、私はあなたの母じゃない!とか、不思議な気持ちだったけど。今はそれ位がちょうどいい!と納得。
私の事を、人前で奥さん、嫁、相方と呼ぶのはやめて!と言っていたからだと思う。
自分の夫をあまり親しくない方から、旦那様!とか言われると、なんだかなぁ…と思うこともあって、ご主人と呼ぶかなぁ。
でも、年配の方が、奥方とか言ってくれると、何とも言えず新鮮な気分です。

名無しさん
こういう他人がとやかく言うべきで無い事を
ことさらに「許せない!」とか言いたがる
言葉狩り的なクレーマーは大嫌い。
あんたの感覚が世界標準じゃないし、
自分が不快に感じるから直せとか何様?
名無しさん
りりこ…大丈夫か?多分この感じはお前が女だからと言う問題じゃないと思う。それを性別の問題にするのは女性に対して失礼とは思わないのか?
tab*by
関西圏では普通に昔からヨメはんといえば妻だと思いますが。
森沢
十年前の『らき☆すた』の頃でしたか、
「○○は俺の嫁!」
という言い回しができたの。
私なら「否、婿入りでもかまわん!(エー)、
婚約指輪はガチで用意!
(してません)、
あとは婚姻届だけだ!(落ち着け)」のコンボ。
「ところが最近ではそういうキャラと本気で結婚式あげた英雄がいるくらいで~」byこなた。
名無しさん
当たり前だけど、第三者の呼称を二者間で使うのは珍しいそうですよ。夫に向かって「お父さん」妻に向かって「お母さん」。嫁ってのは、そんな呼称ではなく続柄の一種か?誰が第三者かっていうと、夫からみたら両親かな?妻に嫁、って呼びかけるんじゃないから、別に問題はないと思いました。
この記事、続柄と呼称を一緒くたにしてますな。
名無しさん
嫁、嫌じゃない。
妻、嫌じゃない。
奥さん、嫌じゃない。
愚妻、絶対に嫌。
名無しさん
自分も「嫁」は嫌だったので、「妻」と言ってもらっています。夫のことは「夫」です。
無限まで数えた男
嫁とか相方とか言う人はアレなタイプが多いよね。知的な人は皆妻って言う。
名無しさん
めんどくさっ結局は個人的な意見の言葉狩りやん!不特定多数が見られる場所に載せるような意見ではないやろ。
名無しさん
日本では、稼ぎがある人=偉い、家事をする人=稼いでいる人よりは偉くない、という明確な身分差がある。
これが無くならない限り、家内も嫁もなくならないですよ。
名無しさん
勝手に言ってろ!面倒くさい女。嫁と言われている女の人が嫌いなんだろ。フェミニストはみんなミソジニー。
名無しさん
旧来の「嫁」という意味はほとんどなくて、「ヨメ」って書くべきドライなニュアンスの記号化してると思うな。私は、この呼び方きらいじゃない。
むしろ「家内」のほうが抵抗があるよ。
するめ
カミさんて呼んでる。


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