習近平氏外遊を直撃……米大使館前爆発の波紋この春、国家主席の任期を撤廃し長期政権を可能にした中国の習近平国家主席。
習一強体制を固めたはずが、その足元を揺るがす事態が相次いでいる。26日には、北京のアメリカ大使館前の交差点で爆発が発生。
爆発直後に大きな音と共に白い煙が電線の高さまで立ち上り、警察が駆けつけるなど辺りは騒然となった。地元警察は現場で内モンゴル出身の26歳の男を拘束した。男は爆竹に似た装置に点火して爆発させ、手にけがを負った。現場には血痕が残り、ガラスが散乱していた。
男はなぜアメリカ大使館前で爆発騒ぎを起こしたのか。
詳しい動機は不明だが、公安当局は「精神状態が不安定で仕事に就けない状態だった」と発表した。ビザの発給をめぐって不満を持っていたとの情報もある。
中国では5年前、天安門広場前の歩道に車両が突入炎上した爆破テロ事件が発生した。当局は独立活動に関わるウイグル族の犯行と断定。以来、習政権は治安を徹底的に強化し、反政府活動を封じ込めてきた。
アメリカ大使館は北京の北東部、各国の大使館が集まる地区にある。中でもアメリカ大使館はテロの標的となりうるため、中国の武警が24時間体制で厳重な警備を敷いている。中国共産党や政府の施設と同様、絶対にトラブルがあってはならない場所で、公安当局のメンツは丸つぶれになった。
タイミングも最悪だった。米中は貿易戦争で対立が激化している最中。アメリカ人や大使館に被害が及べば、外交問題に発展しかねない。さらに、習主席はアフリカ歴訪のため不在中だった。
悪影響を最小限に抑えるためか、中国政府の対応は異例の素早さだった。
中国外務省は午後の会見で「単独犯」との見方を示し、組織的な犯行ではないと明らかにした。通常、管轄外の事象については、「担当の部署に聞いて」と答えるのが慣例だが、この日は貿易戦争への報復と見られることを憂慮してか、あえて「単独犯」に言及した。
習批判動画が拡散……個人崇拝の行き過ぎに懸念
習近平氏を公然と批判する動きも広がっている。7月始め、上海で女性が習氏の看板に墨をかけた動画をユーチューブで公開すると、ネット上で一気に拡散した。女性は「習近平の独裁専制的な暴政に反対する!中国共産党に反対する!」と叫んだ。女性はその後、姿を消し、当局に拘束されたと見られている。
習近平政権下では、SNSやネットに対する監視は強化の一途をたどっている。反政府的な書き込みをすれば、治安当局がすぐに取り締まる。にもかかわらず、習氏への反発は止むどころか、拡大の気配も見せていた。
そこに、ある異変が生じた。中国共産党機関紙「人民日報」や、国営テレビで習氏の報道が激減し、習氏の思想を研究するプロジェクトが中止されたのだ。
中国ではかつて、毛沢東主席に対する個人崇拝が文化大革命という悲劇を招いたという反省があり、国民の間には個人崇拝に対する抵抗感が今も残る。習氏批判を少しでも抑えようという配慮が働いたと見られる。
8月には中国共産党の重要会議、恒例の「北載河会議」が開催される。
開催日や協議の内容は一切明らかにされない非公式の会議だが、党重鎮も参加して重要方針が決められるのが通例だ。今年は「米中貿易戦争」への対応をめぐって、習氏に批判が集中する可能性も取沙汰されている。権力闘争の火ぶたが切って落とされる可能性もあるのだ。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180727-00010012-fnnprimev-cn
みんなのコメント