7月27日、木村拓哉がパーソナリティーを務めるラジオ番組『What’s up SMAP!』が23年間続いた放送の幕を閉じた。
ただ単に、一ラジオ番組が終わっただけではない。この“終了”が持つ意味は大きい。これでテレビ、ラジオを含め、全放送から「SMAP」の文字が消えたのだ。
「SMAP解散が決まったとき、どうしたものかと、各放送局は頭を悩ませました。存在しないグループの名前を使うのはいかがなものか、という意見が多く、結局、『SMAP』の冠が付いた番組は次々と打ち切りになりました」(在京キー局社員)
その中で、唯一、木村の番組が残っていたわけだ。
「ラジオも、“外した方がいい”ということになったと思います。当然、タレントサイドにお伺いを立てているでしょうから、キムタク、あるいは事務所が、“そのままでいい”としたんでしょうね。
それは、SMAPファンの心情を考えてのことなんじゃないでしょうか。あんまり露骨なことをしちゃうとファンだけでなく、他のリスナーからもヒンシュクを買いますからね」(ラジオ局関係者)
SMAPという看板が取れた、あるいは“呪縛”から解き放たれた5人の先にはどんな道が続いているのか。
事務所残留を決めた木村と中居正広。木村は俳優業一本でいくとみられており、今後も映画やドラマに出続けることになるだろう。
しかも“アイドル”を卒業したことで、「何を演じても“キムタク”から脱却し、演じ手として、熟成が期待されるのではないでしょうか。彼ももう40代半ば。バラエティーにも積極的に出演するようで、今までと違うキムタクが見られるのでは」(テレビ局関係者)
中居は何の不安もないだろう。司会業は順調で、安定感はピカイチだ。木村と2人で歌やダンスを披露することはこの先ないだろう。あるとすれば「SMAP」の再結成か。
■独立組3人はいつキー局に?
さて、独立組の3人はどうだろう。
ネット番組を皮切りに、新曲発表、CM、舞台、映画と、滑り出しは順調のようにみえる。しかし、テレビ番組の出演はまだない。
そう、マスコミが注目しているのは、彼らがいつキー局の番組に出演するかだ。
いまや、一般人も知っている芸能界の“悪しき慣習”。タレントが大手プロダクションから独立した場合、一定期間は活動を抑えなければならない。また、円満退社とならなかった場合は、元所属事務所の“圧力”や、テレビ局の“忖度”があって、画面に登場しにくい等々。
3人は、独立してそろそろ1年になる。決して円満だったとは言えないまでも、契約期間満了を持っての独立なので、彼らがキー局の番組に出演できない理由はほぼなくなっている。解散騒動とその後の一連の不祥事でジャニーズ事務所の評判もガタ落ちした。世間の目も厳しくなっている。
今年2月に公正取引委員会が出した報告書によれば、〈芸能事務所がタレントの移籍制限をすることは独占禁止法違反になる場合がある〉としている。
さらに、〈移籍しようとするタレントに不利益を課す行為〉も独禁法上の問題があるとされた。つまり不当な圧力をかけて、仕事を干したりするのはルール違反だということになる。
残るハードルはテレビ局の忖度くらいだが、現状ではそれも少なくなってきているように感じられる。
結果、フジテレビが8月18日放送の「ほんとにあった怖い話―夏の特別編2018―」に稲垣吾郎を起用すると発表した。どちらかといえば、バラエティーで、例年通りのストーリーテラー。正式な意味でのドラマ出演ではないにしても、独立後、キー局出演第1号に変わりはない。
「ジャニーズ事務所と関係が深いと言われていたフジが先鞭をつけたことで、他局も考えないわけにはいかなくなったと思います。ほかの2人も近いうちにテレビ出演が決まる可能性は大きくなったと言えるでしょうね」(前出のテレビ局関係者)
3人にとって好機到来となるわけだが、必ずしもそうとは限らない面もある。在京キー局幹部がこう語る。
「まだまだではありますが、テレビ局が本来あるべき姿に戻りつつあるということですね。局と芸能事務所は対等の関係となり、番組にふさわしい、本当に実力と人気のあるタレント、役者を起用するという、当たり前のことができるようになることが望ましいわけですから」
無意味な忖度や、不当な圧力が通じなくなるということなのだが、それは逆に、彼ら3人にも当てはまることになる。実力が発揮できなければ消えていくしかない、芸能界の厳しさにさらされることになるわけだ。
喜んでばかりはいられない。「新しい地図」はこれからが正念場だ。
(取材・文/芸能ジャーナリスト 佐々木博之)
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180803-00000016-nkgendai-ent
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