● レビュー
「変な人」と聞くとネガティブなイメージを持つかもしれない。一般的に「変な人」とは、言動や性格が変わっている変わり者のことで、ちょっと近寄りがたい存在だろう。
一方、本書『JTの変人採用 「成長を続ける人」の共通点はどこにあるのか』でいう「変な人」は、ポジティブなイメージだ。発想力が豊かであったり、普通の人とは違う視点で物事を見たりと、これからの時代を活躍できる「新しいものを考え出す力」がある人のことを指す。
本書は、JTで採用に携わってきた著者による一冊だ。著者は、「変な人」を積極的に採用してきたという。といっても本書は単なる採用ノウハウ本ではない。
「おもしろい仕事をしたい」と考えている読者に向け、仕事をおもしろくする方法を指南してくれるものだ。「変な人」であることが重要である理由にはじまり、「変な人」の思考パターンや「変な人」のアイデアの出し方、そして「変な人」の育て方までが紹介される。
著者は、「変な人」の資質は誰しも潜在的に持っているものだという。奇人変人や天才肌でなくても、ちょっとしたコツをつかみさえすれば誰もが「変な人」になれる可能性を持っている。
そして晴れて「変な人」になることができれば、毎日の仕事が格段におもしろく、楽しくなっていくだろう。ぜひあなたも「変な人」ぶりを発揮し、イノベーションを起こすことに挑戦してみてはどうだろうか。「変わってるね」というのは、大変なほめ言葉なのだ。(山下あすみ)
● 本書の要点
(1)グーグルやアップル、アマゾン、フェイスブックといった企業は、「変な人」集団である。変な人だからこそ、革新的な事業を考案することができるのだ。そんな時代にあって、「ふつう」でいることはリスクである。
(2)著者は採用の際、その人の能力と成長度に加えて、「流れの良さ」を重視している。流れのいい人を見抜くにあたっては、ターニングポイントにおいてどのように意思決定をしてきたかが重要だ。
(3)「変な人」を育てるためには、理不尽をなくし、彼らが気持ちよく、意欲的に働ける環境づくりが重要だ。
● 要約本文
◆「普通」でいることのリスク
◇グーグルと日本企業の違い日本人は、「和をもって貴しとなす」とする民族性がある。だから若い人も「みんなと同じがいい」「ふつうがいい」と幼いころから刷り込まれてしまっているかもしれない。
しかし、それではいけない。「みんなと違っていても、いい」と考え方を変える必要がある。なぜなら今は、「ふつう」でいることのリスクのほうが格段に高いからだ。
昨今、グーグル、アップル、アマゾン、フェイスブックといった企業が圧倒的な強さを見せている。これらの企業が、この3、4年で世界の半分以上のビジネスを牛耳るのではないかとさえ言われているほどだ。
これらの会社は、いわば「変な人」集団である。とくにグーグルは、「変な人」を採用し、彼らの遊び心を促進する社内制度を整えていることで知られている。だからこそ、革新的な事業を考案することが可能となっているのだ。
こうした状況において、「ふつうの人」集団である日本企業はもう太刀打ちできないだろう。横並びになってことを成す時代は終わろうとしている。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180903-00178755-diamond-bus_all
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