コラム【芸能界クロスロード】
観客動員数が予定に満たなかったと、「さいたまスーパーアリーナ」公演をドタキャンした沢田研二(70)。当然のようにバッシングが起きる一方で、
GS時代に覇を競った堺正章のように「理解できる部分はある。それが沢田の美学」と認める声も少なくない。
ドタキャンは「沢田らしい」ともいわれる背景にあるのが、これまで貫き通してきた沢田のポリシー。
ソロ歌手として一時代を築いた沢田の全盛期は強烈なインパクトがあった。メークとセクシーな衣装で甘く切なく歌う姿は男をも魅了。
「アイドルが束になってもかなわない」といわれるほどのスーパースターだった。ビジュアル歌手の先駆者であり、後輩歌手も憧れる存在だが、当時は「男が化粧して」と非難する声もあった。
「沢田はシーソーのように味方半分、敵半分でバランスが取れる歌手を理想の形としている。化粧や衣装で賛否が起こり騒ぎになることは織り込み済み。
嫌いな人も騒ぐほど関心が高いことの証明。今回の騒動も他の歌手だったら批判しか起こらないが、沢田だから賛否が起きた。年を取っても沢田の根底にあるものは変わっていないと感じた」(芸能関係者)
沢田のファンは生き方も含めて応援し続けている。ドタキャンされた7000人のファンもほとんど騒ぐことがなかったのは、沢田への理解を示している。
かつては大手プロに所属。アイドル「ジュリー」をつくり上げたが、独立後は紆余(うよ)曲折経て今の沢田が確立された。群れをつくらず一匹おおかみ。
テレビに出ることもなく、ソロコンサートに徹している。その中身も過去の栄光にすがるのを嫌い“ジュリー”を捨てた。
その象徴が現在のお腹の出た年相応の体形。ジュリーを続けるなら体形などビジュアル面も維持しなければならないが、沢田はしない。
「今の沢田で良かったらコンサートに来いという姿勢。ジュリー時代の数々のヒット曲も減らし、新曲を中心にじっくり聴かせる。会場でも“ジュリー”と黄色い声を上げることや出待ちを禁止している」(音楽関係者)
ファンの大半はジュリー時代から応援するリピーター。かつての面影が消えヒット曲を歌うことがなくても7000人を集める。
ソロでこれだけ集客力のある歌手はそういない。実績が沢田のおごりになったのか、2000人少なかったことがドタキャン理由という。
予定の客が入らないと、値段を下げたり、関係者に無料で配るなどして空席を埋める歌手もいたが、沢田はそれを許さなかったのだろう。
減った一因と指摘されているのがヒット曲の封印。「『勝手にしやがれ』を今の沢田がどう歌うのか聴きたかった」と思うのがファン心理である。
ファンは髪の毛。年齢と共に髪が抜けるようにファンも抜けていく。沢田は「アリーナをいっぱいにする課題ができた」という。どうやって髪(ファン)を呼び戻すのだろうか――。
(二田一比古/ジャーナリスト)
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181025-00000009-nkgendai-ent
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