史上初の“突然ＣＭドラマ”が誕生した理由　あのガリタさんに聞く→スタッフは裏方廻れよ！つまんないから。中島Ｐの方がいい！

フジテレビは、史上初となるアドフュージョン（広告融合）ドラマ「名探偵コジン～突然コマーシャルドラマ～」を２０日深夜０時３０分から放送する。

同作品は、名探偵本人が事件の被害者になってしまう奇想天外なストーリーを“ドラマ本編の中にＣＭを融合させる”という新しい手法で展開していく。この画期的なドラマの構想・トータルデザインを電通とともに考えたのが、フジテレビ営業局の明松功（かがり・いさお）さん（４７）。

写真を見て「あっ、ガリタさんだ」と叫んだ人は、人気番組「めちゃ×２イケてるッ！」（今年３月放送終了）を見ていた視聴者だろう。そう、栄養士の“ガリタガリ子さん”というキャラクターで出演もしていたチーフプロデューサーなのだ。そんな明松さんは２年前の夏にバラエティー制作から営業局へ異動。そこで今回の企画を考え、前へ進めた。部長職として活躍する明松さんに話を聞いた。

「目指すべきものは、いわゆる広告コマーシャルに付加価値をつける。インフォマーシャルを練り込んでいくことによって好意的、親和的に視聴者にとらえてもらって、そしてスポンサーも喜ぶ価値作りという使命。演者さんも含め全員が遊んで、楽しんでいる理想型。視聴者にたぶん伝わると思います」

明松さんはゆったりとした口調で説明を始めた。ドラマの舞台は山奥のペンション。同所を訪れた私立探偵・萩原（金子ノブアキ）は殺人事件に遭遇。しかし、なんと被害者は萩原本人だった。 故人（コジン）となった探偵が事件解決に向かって立ち上がる。

電通の担当者と話し合うなかで「サスペンスというアウトラインは早くから決まっていた」と明松さん。実はこの担当者が大学（神戸大）の後輩。「アメフト部の同じポジション。“めちゃイケ”ホンキーマンの番組（２０１５年の『２７時間テレビ』）ＣＭを作ってくれたのが彼で、２０年ぶりにプライベートで飲んで一気に話が盛り上がった」と語る。

困難を極めたのは、放送法。番組とＣＭは差別化しなくてはいけないということ。ドラマ終わりからそのキャストによるＣＭ突入という手法はかねてから存在するが、「ＣＭをもう少しなじませたい。でも、なじませたら放送法に引っかかる。そんな試行錯誤とともにスポンサーが決まらない→脚本が上がらない→キャスティングが進まない→スポンサーが決まらない→脚本が上がらない…まさに負のスパイラルでした」と振り返る。“ステマ問題”（ステルスマーケティング）もざわつく。だから、こう説明する。

「“ステマの逆をいきます”というロジックなんですよ。われわれの命綱ともいえるストーリーテラー役の滝藤賢一さんが登場する。そしてＣＭがスネークイン。ちゃんと見ておかないとどこで入ってくるか分からない。見方のガイドをする。『ただいまＣＭ中です』とテロップを流す。“でも気をつけてください、物語は続いていますよ。その代わりＣＭをなじませていますよ、大丈夫ですか、物語は進んでいますよ”ということなんです」

未知の領域への挑戦。商品のことをしゃべっている役者のかけあいが９０秒あって、その９０秒がＣＭの尺となるわけだ。今回の賛同企業はサントリーホールディングス、エクスコムグローバル、ＬＩＮＥの３社。ＣＭ中もドラマのストーリーは展開し続けるため、放送中はテレビ画面から一瞬たりとも目を離す暇はない。これまでの常識を覆す、電通ネーミングの“アドフュージョン”ドラマ。出演者の金子は「将来、何か大きな潮流が生まれたときに自慢したい」と期待に胸を躍らせる。

そんなコメントをもらい、明松さん自身の感慨も深い。２年前、異動になったときに「なぜ僕が営業なのか」とその理由を尋ねた。営業の上司は「番組作りの経験がない者とたくさんしゃべってほしい」「営業発の番組を何か作りたい」「フジテレビのファンを増やしてほしい」。この３つを話され「だから、おまえがいいんだ」といわれたそうだ。

そこで、明松さんは思った。「タイムセールスをして売り上げを立てる、精度を上げるということを求められているのではないんだ」と。あれから２年がたった。「営業マンとしてのクオリティーは低いと思う。いまだに分からない資料があるんですよ」と小さい声で苦笑い。だが、一歩外へ出ると、一発で顔と名前を覚えてもらえる。

「“めちゃイケ”に感謝ですね」

体重も７キロ落ちた。「脂汗ばかりかいているが、規則正しい生活、それはいいですよ」とスーツ姿もすっかり板についた。

フジ営業と編成の双方から活発にアイデアを出し合いながら完成したドラマ。同局編成部の野崎理さんは「明松先輩に“こんな番組ができたら面白くない？”と相談をもらったのが昨年の秋。この番組がテレビの可能性を変えるきっかけとなり、見てくださった視聴者の方々に“フジが深夜に面白いことをやっているな”と思ってもらえたら本望です」

と語り、明松さんも「第２、３弾とシリーズ化できたらうれしい」と話している。出演は、ほかに佐津川愛美、北香那、峯村リエ、升毅ら。放送直後よりＦＯＤで１週間無料見逃し配信も実施する。

引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180619-00000500-sanspo-ent

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