ASKAが2018年に入りソロデビュー31周年を迎えた。それに呼応するように今年に入りその動きが、ますます活発化している。ファンが選んだ『We are the Fellows』と、自身が選んだ『Made in ASKA』の2種のベスト・アルバムの同時発売を始め、
交響楽団と贈る実に久々となる全国ツアー、また新曲群の配信開始やそれに伴う自前の配信システムの新規立ち上げ…。
また、それらに準ずるように、ブログやファンクラブを通し、「待ってくれている人たち」に向けてのメッセージもより色濃くなってきたのも見逃せない。
■ストリーミング配信で「ミュージシャンがいなくなる」
――ブログのなかでも個人的に興味を惹いたのは、ASKAさんの今の音楽業界やこれからのミュージシャンに対しての危惧や危機感、そのためにどうしたら良いかを真摯に説いていたところでした。
ASKA:音楽業界やミュージシャンの多くが、これと近いことを感じられていると思うんです。ただ、日本のミュージシャンは、
どこか「活動をさせてもらっている」という心理に美学を持っているとことがあります。僕は20年以上前に、「いずれ、楽曲は何らかの通信によって、皆さんの元へダイレクトに届けられるようになる」と伝えていたりしてたんです。
今思うと、配信のことでした。また、「いつしか音楽の価値がグンと下がって行く時代が来る」、それがいわゆる今のストリーミングのことでした。
「それらが現実的になったらミュージシャンと呼べる人は誰も居なくなってしまうだろう」と僕は伝えていたんです。その「ミュージシャンがいなくなる」の表現は極論にせよ、音楽に夢を見出し、“音楽をやろう!”と考える人たちが少なくなっていくだろうと。
――確かに今は一部を除き、かつてよりミュージシャンの生活水準が下がっているかもしれません。
ASKA:そのいい生活をするのももちろん目指す目標の一つでしょうが、作品を作っても、作品をつくるための制作費がどんどん削られていき、結果、クオリティの低いものになってしまう。アーティストへの還元が少なくなってしまうんだから。
そうなったら、音楽を作る前に、楽曲を作るお金の心配をしなくちゃならない。“そんな環境の中、音楽家はどうやって音楽をやっていけばいいのか……?”
そんな世の中に必ずなるよと。で、実際そうなってきてますし、多くのミュージシャンがライブを中心にしないと食べられてない状況ですから。
――アーティストも今や音源ではなく、ライブやその物販で収益を得たり、音源でかかった費用を回収したりとの考え方に変わってきてますもんね。
ASKA:逆転してますよね。もちろん、それはこの時代に合ったスタイルではあるんでしょうが、自分達が見ていたものとは違うなと。
昔はそれこそ、ライブでは赤字覚悟でエンタテインメントを観せておいて、それをアルバムで埋め合わせしていくスタイルでした。今では、音楽はサービス業になっています。それもあって、自身で配信サイトを立ち上げたんです。
――「Weare」ですね。これはハイレゾによる高音質の音源を、同業他社の一般価格よりも比較的安価で購入でき、ミュージシャンにも高還元率が売りのシステムとお見受けしました。
ASKA:すでに活動を盤石にされているミュージシャンの方々には必要ないでしょうが、これからのミュージシャンにとって音楽業界の新しい地図の一つに加わればいいなと立ち上げました。
――ここまでベテランながら、あえて時代に背を向けず、頑なにならず、その流れの中で最良な方法を見つけようとしている、ASKAさんのその姿勢には驚かされます。失礼ですが、ASKAさんと同世代ぐらいのミュージシャンは、未だに盤に強く固執している印象があったもので。
ASKA:正直、僕の周りにもそういった方々はおられました。しかし、中には僕の活動を見ていて、考え方を変えてくれた方もいらっしゃって……。
その時代によっての泳ぎ方ってあると思うんです。今は、ミュージシャンが一丸となって、世の中の川を泳ぐのではなくて、世の中に自分たちが泳げる川を作らなくてはならない。そういったやり方をしているだけです。
――あえてハイレゾという高音質でのデバイスにもこだわっている印象があります。
ASKA:せっかく一生懸命作った音源なので、最もレコーディング時に近い音質やより良い音で届けたいですし、聴いてもらいたいんです。
あとはハイレゾとCDとの音の違いにあまりにもショックを受けて。こんなに音が違うものなのかと
。ゴージャス且つ耳にもなじみやすい。あとはクオリティが高いのに、やってみると案外便利。一度、取り込んだら、あとはタッチだけですからね。
人はやはり便利な方にしか流れないので。音が良く且つそこに通常の配信音源との価格差もあまりない。そこを目指しています。
――実際、そのハイクオリティと低価格は両立可能なものなのでしょうか?
ASKA:そのために企業とタイアップしています。システムを共有することで開発費も抑え、かつ、間に幾つも会社を挟まない。
あと我々のマージンは一切ナシなので実現できたところもあります。従来は、ハイレゾにマスタリングし直すのに労力やお金がかかっていましたが、
そこもレコーディング時からハイレゾ再生を前提に録り、ハイレゾ推奨の形態で納品してもらえればいいわけで。その辺りでもコストを抑えることができます。
――とは言え、せっかくそのような高音質での再生楽曲を作っても、それを普通の再生機器で聴く方も多いでしょうに。
ASKA:それもあり、Weareでは、それの再生に適したヘッドフォンや、低価格で優れた音質のBluetoothスピーカーを開発したので、今後、随時販売していく予定です。ハイレゾの音質を損なわないBluetoothです。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181002-00000008-exmusic-musi
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