TBS系のバラエティー番組「水曜日のダウンタウン」の“芸人連れ去り企画”のロケで、目撃者から110番通報が相次いだことが大きな批判を浴びている。問題のロケは5月22日、東京・渋谷区のJR恵比寿駅周辺で行われた。番組スタッフ数人が、お笑いコンビ「コロコロチキチキペッパーズ」のナダルを車に押し込み“拉致”したところ、目撃者から「男の人が車で連れ去られた」などという110番通報が相次いだ。この件で警視庁は、TBSを厳重注意した。
「ダウンタウン」の松本人志は、24日放送のフジテレビ系情報番組「ワイドナショー」で、「いかんですよ。本当にいかんと思います」と言う一方、「ストレートにストライクを狙いにいく番組じゃない。だから、たまにデッドボールが出ちゃうんです。ビーンボールではなく、ちょっとすっぽ抜けちゃうというか」と、スタッフを擁護した。
この問題について賛否両論あるとはいえ、さすがに“これはダメ”という意見の方が多いのは事実だ。当サイトと東スポ本紙でも「この演出はアウト」とする記事を掲載している。
一方、「水曜日のダウンタウン」を擁護する意見としては、同番組の“攻めの姿勢”を称賛するものが多い。特に最近のバラエティーは自粛ムードが目立ち、「攻めた演出を全くやらない」と言われるなか、「『水曜日のダウンタウン』は攻めている」という見方になるのだろう。
確かに昔のバラエティーでは、今よりももっと過激な演出があったのは事実だ。特に1990年代に特番として何度も放送された「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」は、“下品だ”“低俗すぎる”などと、たびたび批判された。だが「お笑いウルトラクイズ」と「水曜日のダウンタウン」は、全く違うものだ。
「お笑いウルトラクイズ」では、不正解だとバスごとクレーンで海に落とされる「バス吊り下げアップダウンクイズ」や、間違えると、どんどんワニに近付いていく「ワニ接近クイズ」など、いまでは絶対にできないムチャクチャなものがあった。さらにバスや戦車が爆破されるという過激なものも多かった。
これらは危険すぎて、いまでは全くお目にかかれないシロモノだが、これらの演出は、お笑い芸人かスタッフしかいない場所で行われていた。そこで芸人たちも嫌がるそぶりを見せながらも、危険な演出を分かった上で参加していた。
一方、今回の「水曜日のダウンタウン」はどうか? 場所は多くの一般人が普通に行き交う繁華街で行われ、そのうえ連れ去られる芸人には後でネタばらしするため、その場では全く知らされていない。これでは芸人による芸でも何でもない。目撃した人が警察に通報するのも当然だろう。
「お笑いウルトラクイズ」からは出川哲郎やダチョウ倶楽部など、後に“リアクション芸”と認知される芸人が育っていた。しかし「水曜日のダウンタウン」の連れ去り企画は、ナダルや「安田大サーカス」のクロちゃんなどが“連れ去られ芸”として認められるはずはない。
過去の危険な演出は、リアクション芸人による高度な芸になり得たが、「水曜日のダウンタウン」は、ただ一般人に迷惑をかけただけ。この演出は“アウト”と言われても仕方ないだろう。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180630-00000035-tospoweb-ent
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