日本文学振興会は18日、第159回芥川龍之介賞・直木三十五賞(平成30年上半期)の選考会を東京築地「新喜楽」で開き、芥川龍之介賞に高橋弘希氏(38)の『送り火』、直木三十五賞に島本理生(りお)氏(35)の『ファーストラヴ』を選出した。
高橋氏は今回、自身4度目の芥川賞候補入り、島本氏も過去計5回にわたって芥川・直木賞ノミネートを経ての受賞となった。参考文献の未記載問題で物議を醸した北条裕子氏(32)の『美しい顔』は受賞を逃した。
高橋氏は1979年青森県十和田市生まれ。2014年『指の骨』(新潮11月号)にて第46回新潮新人賞を受賞。これまで『指の骨』で第152回、『朝顔の日』(15年 新潮6月号)で第153回、『短冊流し』(16年 新潮1月号)で第155回の芥川賞候補になった。
その他の作品に『スイミングスクール』(16年 新潮8月号、単行本は17年 新潮社=第30回三島由紀夫賞候補)、『日曜日の人々(サンデー・ピープル)』(17年 群像6月号、単行本は17年講談社=第31回三島由紀夫賞候補・第39回野間文芸新人賞受賞)など。
島本氏は1983年東京都板橋区生まれ。都立新宿山吹高等学校に在学中の2001年に『シルエット』で、第44回群像新人文学賞の優秀作を受賞し、デビュー。
これまで芥川賞候補に『リトル・バイ・リトル』(第128回、02年 群像11月号)、『生まれる森』(第130回、03年 群像10月号)、『大きな熊が来る前に、おやすみ。』(第135回、06年 新潮1月号)
、『夏の裁断』(第153回、15年 文學界6月号)、直木賞候補に『アンダスタンド・メイビー』(第145回、10年 中央公論新社)が選ばれている。その他、『ナラタージュ』(05年 角川書店=第18回山本周五郎賞候補)などの作品でも知られる。
芥川賞・直木賞は1935(昭和10)年に制定。芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られる。前者は主に無名・新進作家、後者は無名・新進・中堅作家が対象となる。
前回の第158回(平成29年下半期)は芥川賞を石井遊佳氏『百年泥』、若竹千佐子氏『おらおらでひとりいぐも』がW受賞、直木賞を門井慶喜氏『銀河鉄道の父』が受賞している。
■第159回芥川龍之介賞 候補作(掲載誌)
小谷田奈月『風下の朱』(早稲田文学初夏号)
高橋弘希『送り火』(文學界五月号)
北条裕子『美しい顔』(群像六月号)
町屋良平『しき』(文藝夏号)
松尾スズキ『もう「はい」としか言えない』(文學界三月号)■第159回直木三十五賞 候補作(出版社)
上田早夕里『破滅の王』(双葉社)
木下昌輝『宇喜多の楽土』(文藝春秋)
窪美澄『じっと手を見る』(幻冬舎)
島本理生『ファーストラヴ』(文藝春秋)
本城雅人『傍流の記者』(新潮社)
湊かなえ『未来』(双葉社)選考委員は以下の通り(敬称略・五十音順)。
【芥川賞】小川洋子、奥泉光、川上弘美、島田雅彦、高樹のぶ子、堀江敏幸、宮本輝、山田詠美、吉田修一
【直木賞】浅田次郎、伊集院静、北方謙三、桐野夏生、高村薫、林真理子、東野圭吾、宮城谷昌光、宮部みゆき
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180718-00000319-oric-ent
みんなのコメント