15日に亡くなった樹木希林さん(享年75)は、十数年、病と闘い続けてきた。03年、網膜はく離で左目を失明。04年には乳がんと診断され、翌年右乳房を全摘出した。全身に転移したがんは、じわじわと体力を奪っていった。
それでも、病を前向きにとらえることを忘れなかった。失明を明かした会見では、演じる予定だった役が変更になりせりふが減ったため「年を取ってきてせりふを覚えられないからラッキーですよ」と話した。
体力が低下したことで長期間拘束されるドラマ出演が難しくなり、活動の中心は映画やCMにシフト。
希林さんは「映画やCMなら体力がいらないから。瞬間芸でできる」と言って笑ったことがあった。強がりではなく、今の自分を受け入れ、できることをやるという姿勢そのものだった。
映画中心の活動になってから、是枝裕和監督や河瀬直美監督らと出会い、映画の楽しさを知ったという。お茶の間で人気だった希林さんは、スクリーンでも人気になり演技派としての評価を受け、新しいファン層を獲得した。
昨年から今年にかけて、「日日是好日」(大森立嗣監督、10月13日公開)、カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを取った「万引き家族」(是枝裕和監督、公開中)と、精力的に撮影を行った。
乳がんの手術を受けた後、希林さんが「私は何でもおもしろがれる。病気に対しても」と話したことがあった。老いに対してもそうだった。映画「わが母の記」(12年)「万引き-」では、入れ歯を外して演技した。
女優としてはかなりのチャレンジだが、本人はいたって淡々としていた。「元取ろうって思ってるだけ。元取っておいしいものでも食べたいなって思うだけ」と笑ったこともあった。
本当の心の内を知ることはできないが、ありのままを受け入れ、女優としての活躍の場や魅力を広げ、作品を深めたことは間違いない。【小林千穂】
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180917-00333336-nksports-ent
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