<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>マツコ・デラックスやミッツ・マングローブの活躍で、今や女装タレントがテレビに登場しない日はない。
振り返って、ドラァグクイーン(DQ)と呼ばれる異性装のパフォーマーが、世に現れた60年代末はどうだったのか。
草分けDQ8人の再結集ステージに、過去の映像を絡めたブラジルのドキュメンタリー映画「ディヴァイン・ディーバ」の1日公開に合わせて来日した出演者の1人、ディヴィーナ・ヴァレリア(74)に話を聞く機会があった。
ヴァレリアがステージに立つようになったのは軍政下のブラジル。「女装のまま劇場の外に出ると、即逮捕されるような時代でした」と振り返る。「でも、翌日には釈放。バカバカしい制度を鼻で笑っているようなところがありましたね」とたくましい。
同じ時代を同様にたくましく生きたカルーセル麻紀(75)も一緒に取材に応じてくれた。2人は東京のステージで共演して以来47年ぶりの再会。法制度との戦い、
世間との摩擦、家族との愛憎…共通点はあまりに多く、「私たち地球の反対側でまるっきり相似形の人生を生きてきたのね」と感慨深げだった。
性の境目を超越した2人は国境もやすやすと越え、国際的な活動も共通点だ。声をそろえるのは今も昔も変わらないフランスの居心地の良さだった。「パスポートは男性でも、入国管理官は最初から『マダム』扱いしてくれました」とカルーセルは振り返る。
興が乗ると、2人はフランス語で直接話し始め、同席したポルトガル語の通訳さんを困惑させていた。
LGBT(性的少数者)の立場や見る目がこの半世紀で大きく変わったのも、2人のようなたくましい先人たちがいたからだと改めて思った。
「日本には私たちの『生産性』をうんぬんする議員さんがいるそうですけど、今、世界が直面する問題は人口過剰の方でしょ。
私たちの仲間には養子をとって一生懸命育てているカップルが多いんです。よっぽど『生産性』が高いと思いませんか」とヴァレリアは言った。某議員には返す言葉がないに違いない。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180905-00318364-nksports-ent
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