コラム【芸能界仕事術】
爆笑問題の太田光(53)が、「大学に裏口入学したと虚偽の記事を掲載され名誉を傷つけられた」ということで、損害賠償と謝罪広告の掲載を求めて提訴した民事裁判で、第1回口頭弁論が開かれた。
マスコミの報道に対してタレントが訴えを起こすという話はよく耳にするが、今回の訴えは、このまま裁判が進んでいくと、大変な問題を2つ、明らかにしてしまう可能性が高い。
そもそもの発端は、8月に週刊新潮が報じたものだ。太田の父親が800万円を“裏口入学”のネットワークに支払い、太田が試験前にホテルにカン詰めにされて問題と解答を叩き込まれたという記事だった。
日本大学の関係者の証言で構成されていたが、太田側は「事実無根であり、太田の父親はすでに他界していて確認のしようもなく、ホテルにカン詰めにされてもいない。誰がそんな話をしているのか」と主張している。週刊新潮側は「記事は真実と確信。裁判で証明する」と反論している。
これが第1の問題。匿名の情報源からの証言をどうやって証明するのか、その手法がまず注目される。800万円の裏金にかかわった人物が、裁判証言に登場することは考えにくいからだ。
そして第2の問題だ。太田側は、記事に爆笑問題の写真を掲載したこと、電車の中吊り広告にまで使われ、肖像権やパブリシティー権の侵害であるとしている。
これについて週刊新潮側は、公共性のある報道だから写真を使用して当然と争うだろう。僕も報道のために写真や動画を使用するのは当たり前だと思っている。
いわゆる公人は、写真などを使われても文句を言えない。政治家や官僚の上層部などがそうだ。さらに僕は、報道番組のキャスターらも社会的影響力を持っていると思われるので、公人のうちに入ってくると考えている。
そこで爆笑の太田であるが、テレビなどで時事問題をネタに扱っているとはいえ、“お笑い芸人は公人なのか”という問題に発展してくる。
昨今、お笑い芸人のスキャンダルも喜々として扱っている当方としては、非常に気にかかる部分だ。裁判で、その点への突っ込んだ判決が出れば、今後の取材方法にもかかわってくる。
太田の妻で事務所社長である太田光代さんは、当初から「訴えます」としており、「記事が出る前に2時間取材に応じたのに、それがまったく反映されていない」とコメントしている。となると、途中で和解というのも考えにくい。
第1回口頭弁論で新潮社は請求棄却を求めた。つまり、裁判するほどの問題じゃない、蹴ってくれということだ。最後まで争って仮に負ければ、判例として大きな影響を与えると自覚しているのかもしれない。
名誉毀損では敗訴しても、肖像権使用の部分では勝訴となるのか。マスコミ報道にかかわる問題であり、僕個人としても今後の動きから目が離せない。
(城下尊之/芸能ジャーナリスト)
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181013-00000013-nkgendai-ent
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