大阪府警富田林署から勾留中の無職樋田淳也容疑者(30)が逃走した事件は発生から3週間以上が過ぎた。府警は加重逃走容疑で同容疑者を全国に指名手配して捜索を続けているが依然として行方はつかめていない。
樋田容疑者は5月以降、強制性交や強盗致傷などの容疑で計4回逮捕されており、今後も逃走のために傷害などさらに凶悪な事件に及ぶ可能性は排除できない。
その場合、府警の法的責任はどのように問えるのか。日本テレビ「行列のできる法律相談所」に出演する北村晴男弁護士に聞いた。
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樋田容疑者は現在も逃走中で、ひったくりを繰り返して逃走資金を得ているとの見方もある。今後、万が一、傷害や殺人などの犯行に及んだ場合、被害者側は府警に法的責任を問えるのか。
北村弁護士は「それは微妙です。法的な責任を問うのは簡単ではありません」として理由を示した。例え凶悪犯とはいえ人は自動的に罪を犯すものではなく、その主体的な意思でもって行動をして犯行に至る。
虎やライオンのようにほぼ自動的に人を食い殺すのとは意味が異なるという。北村弁護士は「そこに個人としての人間の意思が働くので簡単に法的責任を問えるかという問題があります。法的な責任を問うのは簡単ではありません」と見解を示した。
その上で北村弁護士は「府警に過失があると立論することは可能」と述べた。樋田容疑者は逃走前の時点で強盗致傷、強制性交、窃盗容疑などに問われている。
2つ以上の犯罪は併合罪として扱われ、仮にすべての罪で有罪となった場合には本件では無期懲役を上限として裁かれることになるが、犯情が重いので、樋田容疑者は逃走前の時点で10年を超える有期懲役となる可能性がある。
樋田容疑者は現在30歳。40歳過ぎまで刑務所で自由を失った生活を過ごすことへの絶望感にさいなまれ、「何としても、どんな違法なことをしても逃げたい。
場合によっては人を傷つけ、殺してでも逃げ切りたい」と犯行に及ぶことを府警側が予測するのは可能であり、従って逃走を許した府警に傷害や殺人などの結果についても過失責任があるとの論を立てることができるという。
その論に従って、被害者側としては国や地方公共団体の賠償責任について規定した国家賠償法に基づき、府警の過失責任を追及することは論理的には可能であると北村弁護士は述べ、「裁判所は非常に悩む事案だと思います」と難しい判断となるとの見通しを示した。
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北村晴男(きたむら・はるお) 弁護士。長野県出身。日本テレビ系「行列のできる法律相談所」にレギュラー出演。趣味はゴルフ、野球。月2回スポーツなど幅広いテーマでメールマガジン「言いすぎか!!弁護士北村晴男 本音を語る(まぐまぐ)」を配信中。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180904-00000027-dal-ent
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