がん闘病中の映画監督、大林宣彦氏(80)が9日、故郷の広島・尾道市で、新作映画「海辺の映画館-キネマの玉手箱-」(仮題、来秋公開予定)の撮影の合間にサンケイスポーツの独占取材に応じ、がんが脳に転移するも奇跡的に消えたことを激白した。
プロデューサーの夫人、恭子さん(80)も網膜剥離(はくり)の手術を受けたばかり。大林監督は互いに支え合いながら、夫唱婦随で傑作を目指す覚悟をみせた。
瀬戸内海の潮風薫る倉庫群。その一つにセットを組み、7月1日から故郷・尾道市で約20年ぶりとなる撮影を続ける大林監督が仰天告白した。
「実は去年3月、がんが脳に転移したんです」
大林監督は6年前に前立腺がんを発病。克服したと思った矢先の2016年8月、今度は末期の肺がんで余命3カ月と告知された。手術は受けず、抗がん剤で劇的にがんが縮小したが、昨年、脳に転移が判明。「でも、放射線治療で奇跡的に消えたんです」と医学の進歩に感謝した。
その後は2週間に1度の定期検診を受け、数値に異常はない。顔は日に焼け目にも力がある。だが、「抗がん剤で味覚障害になっちゃってね」と食欲が減退。70代のときの身長1メートル75、ベスト体重72キロが現在、1メートル60、体重54キロになったことも明かした。それでも映画への熱は衰えない。
新作の「海辺の-」は映画館にいた若い男性3人が、映画の世界に吸い込まれ時空を超えて戦乱に巻き込まれる物語。広島で被爆する実在した劇団「桜隊」のヒロインの少女を救おうと奔走する姿が描かれる。出演陣は今秋発表の予定で、大物や芸達者がそろう。
7月上旬の西日本豪雨で男女計2人が死去、一時断水した尾道市。撮影も予定変更を余儀なくされた。「それでも、地元のエキストラの皆さんにも助けられ撮影は順調。戦争の悲惨さ残酷さを子供たちにも分かる内容にして、地元に恩返ししたい」と力を込める。
大林作品を支えてきた夫人の恭子さんは3年前、両足を骨折。6月には網膜剥離の手術を受け尾道入りが7月中旬になった。恭子さんは「監督の体調チェックが主な仕事」と笑うが、現場でのきめ細かい気配りが周囲をホッとさせている。
15日の終戦記念日あたりに尾道での撮影が終わる予定で、9月から東京に移る。大林監督は「あと2作、構想がある。死ぬまで現役だ」と笑顔で誓った。もちろん、それは恭子さんがいてくれるからでもある。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180810-00000026-sanspo-movi
みんなのコメント