コラム【芸能界仕事術】
ジャニーズ事務所といえば、男性アイドルの人気グループをつくり続ける有力なプロダクション。そんなことは、僕ら世代のおじさんだって、よく知っている。
つい先日、今年デビューした新しいグループの取材に行ってきて、ジャニーズが成功し続ける“勝利の方程式”がハッキリと分かった気がした。それは、普通の企業と同じで、“新商品開発”と“マーケティングリサーチ”がしっかりしていること。それがキーワードだと思うのだ。
新しいグループというのが、「King&Prince」という6人組。何せ、デビューシングルCDが初週だけで57万7000枚を売り上げた。
これ、デビューシングルの歴代2位という記録だ。そして、コンサートツアーが始まったのだが、全国5都市21公演、26万人のチケットが取れないという勢い。デビューしたてで、なぜだと思うのが普通だろう。そこには“秘密”があった。
彼らのデビューには、約3年の準備期間をかけている。ジャニーズにはジャニーズJrという候補生が多くいて、歌やダンスの練習に明け暮れている。
その中から、事務所に君臨するトップのジャニー喜多川さんが、これはと思うタレントを選び、ユニットを組ませるのだ。ジャニーズには大物アイドルの「嵐」をはじめ、たくさんの人気グループがいるが、そのステージに「Jrコーナー」として新しいユニットを出演させる。
すると、ファンの間で「あの子がいい」「この子がいい」と人気が出てくるという仕組みで、いわば新商品の事前PRで、いくつかのユニットを紹介していくわけだ。
その後、複数のユニットの中から2ユニットを組み合わせ、劇場の1カ月公演に何日間かずつ出演させる。その際、いろいろな組み合わせのユニットの出演日をつくるのがミソだ。
チケットの売れ行きやファンの熱狂ぶりで、どのユニットがより人気を得ているかが分かることになる。“マーケティングリサーチ”を1カ月公演で行っているわけだ。人気ユニットはデビューもまだなのに、ハッキリと“イケる”という手応えを感じられる。
その後、さまざまなところで露出させて、ファンの反応を見ながら、「いつデビューするんだろう」という期待感をあおりつつ、ベースとなるファンを増やしていくことになる。
3年かけてようやくデビューとなると、待っていたファンが飛びつく。CDもチケットも売れまくるというわけ。
かつてはジャニー喜多川さんが鶴の一声で「ユーたち、明日から嵐だからね」と言った時代があったが、現在はさまざまなデータの裏付けを取って、売れるタレントをつくっている。“盤石”というしかない。
(城下尊之/芸能ジャーナリスト)引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180818-00000009-nkgendai-ent
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