NHK連続テレビ小説「半分、青い。」で、豊川悦司(56)扮する少女漫画家、秋風羽織が大人気になっている。そのキャラクターたるや、職業や名前のイメージとは程遠い偏屈なおっさん。永野芽郁演じる鈴愛の師匠という脇役なのだが、ロン毛にサングラスという風貌といい、怒涛の河内弁といい、主役以上の存在感を放っている。
放送中の第14週では漫画家を辞める決意をした鈴愛に対して「漫画をもう辞めたらいいと思います」と引導を渡し、鈴愛は秋風の元を去ることに……。豊川はこれでクランクアップ。物語前半を牽引した強烈キャラに対して“秋風ロス”が広がっている。
90年代に大ヒットしたドラマ「愛していると言ってくれ」や「Love Story」などに出演していた当時は、寡黙でナイーブな役柄が目立った豊川だが、年を重ねるにつれて幅を広げ、さまざまなチャレンジをしてきた。
それらが本作での怪演につながっているのは確かだろう。そして、私生活での数々の経験も、役者としての深い年輪になっているのかも知れない。
14歳年下の女優・小島聖と同棲し結婚かと注目された94年ごろから豊川を直撃取材しているベテラン芸能記者、青山佳裕氏が言う。
「役柄のイメージを大切にする豊川さんは、私生活を語らない主義であると、芸能マスコミには知られています。
実際その通りで、小島さんと同棲中のご自宅を訪ねたりしたときなど、とてもピリピリして、あまりの拒絶ぶりにカメラマンが一眼レフカメラを地面に置いて、両手を上げて後ずさりしたほどです。『演技がすべて』というこだわりを持って、演技を磨いていかれたのでしょう。記者としては、けんもほろろでした」
■直撃取材にも「お手柔らかに」
その後、豊川は小島とは破局してしまうが、97年にドラマ「青い鳥」のヘアメークを担当していた女性と結婚、1男1女に恵まれた。
だが、こちらも2005年に離婚。このあたりから、主義主張を変えるまではいかないまでも、違った顔を見せるようになっていったという。15年5月、鎌倉で同棲中の13歳年下の元エステティシャンの女性との再婚と女児の誕生を青山氏の直撃を受けて公表。「きちんと子供が生まれる前に、彼女と籍を入れさせてもらいました」と語っている。
青山氏はこう続ける。
「何度もお目にかかっていくなかで、顔見知りになったこともありますけど、こちらの職業についても理解といいますか、考えが及ぶ余裕みたいなものが感じられるようになりました。あるとき『お幾つですか』と聞かれ、
年齢を言うと『僕より年上じゃないですか。先輩ですね』と驚かれた。それから『なんでそんなに日焼けしているんですか』などと、打ち解けた会話をしてくれるようになったんです。紆余曲折があったからこそであろう柔和な笑顔を見せてくれるようになりました」
今回のブームを受けて、改めて青山氏が鎌倉で直撃すると「ああ、どうも」と挨拶し、「お手柔らかに」と言いつつ、取材に応じたそうだ。
「豊川さんはサーフィンが好きで、朝、波乗りをした後、帽子をかぶって防波堤に座り、たばこをくゆらすんです。これが実に絵になって、かっこいいと評判なんです。犬との散歩といい、幼い子供との語らいといい、満ち足りた時間が今の円熟の仕事ぶりにつながっているのでしょう」
ドラマでは「ホンマにおどれは人のDNA刺激するやっちゃのう! 何を言うとんじゃ、ワレ!1回、死んでこい!」などと河内弁全開だったが、素顔は本当にかっこいい50男。時間と経験を積み重ねた豊川にしか表現できない「秋風羽織」であった。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180706-00000008-nkgendai-ent
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