若い女性画家の白い手の甲や腕には、いくつかの傷あとが残っている。何年も前、かわいがっていたオス猫に引っかかれたものだ。猫は元野良猫。虐待を受けた経験があるのか、人に懐かず、身体を触らせることはなかった。心に焼き付いた愛猫との思い出を女性に語ってもらった。
「怖いくらいの勢いで引っかかれました。でも私、彼のことが大好きでした」
神奈川県横浜市に住む画家、大野愛(めぐみ)さん(29)が愛した猫の名前は「クロ」。一昨年の春に旅立ったが、その気性の荒さから、一緒に写った「2ショット写真」は1枚も残っていない。それでも、いまだに大事な存在だという。
痛々しい“虐待”の痕
「クロと初めて会ったのは6年前。かなりひどい“虐待”を受けた猫でした」
大学を出て、絵の道へ進むことを決めた愛さんは、自宅から近い横浜・元町の古いアパートの1階にアトリエを構えた。クロはその庭に時々ふらっと現われる、年齢不詳の黒い野良猫だった。
「ある時(2012年5月頃)、すごく痩せた状態で、背中のあたりをケガしていたんです。事故にでも遭ったのかなと様子を見守ろうとしたら、数日後にさらに傷が増えていました」
黒猫は息も絶え絶えな様子でアトリエの脇にうずくまっていた。口元には抜けかけた歯が見えていた。だが、近づくと、威嚇する。近所で猫の虐待が起きているという噂を耳にして、愛さんは動物保護団体から捕獲機を借り、えさでおびき寄せて捕まえ、動物病院に連れていった。
「最初の病院では、“野良猫で凶暴だから”という理由で拒否されました。2カ所目で丁寧に診察してもらったのですが、高温の油を数回にわたってかけられた火傷だろうと。歯がボロボロ抜けおちていたのですが、衰弱しきったからではないかということでした」
診察した獣医師によれば、年齢は人の年で60代。なんとか命は助かったが、焼かれた毛は再び生えてこないだろうといわれた。愛さんは痛々しい初老猫を放っておけず、診察後に面倒をみることにした。
「当時は自宅でも3匹の猫を飼っていたので、アトリエに2段ゲージを置いて、その中で世話をしました」
「クロ」と名づけた猫は飢えていたが、カリカリを砕いて与えると、少しづつ口にした。
なでさせない猫
しかし、心にも深い傷を負っていたらしく、人間を異常に恐れた。
「私が水やフードを替えたり、トイレを掃除する時もおびえて、本気で引っかいてくるので、手が血だらけになってしまいました」
絵を描くための手が傷ついても、愛さんはクロを見放すことはできなかった。
保護して数日後、ケージの扉を開けると、アトリエ内をうろうろ歩くようになった。部屋の隅でえさも食べるようになったが、少しでも動くとビクッとして陰に逃げる……。そんな生活が数カ月続き、お腹がすくと、ソファに乗るようになったが、クロは自分の体には一切触らせなかった。
「火傷した部分がかゆいようで、かさぶたがたくさん落ちました。そのうち、もう生えないと言われた毛が、いつしかふさふさになってきたんです。それは本当に嬉しかったですね。体重も増えていきました」
クロは無口な猫で、「うぎゃあ」(ごはん~)と野太い声で鳴く以外は、アトリエでほとんど声を出さなかった。1人と1匹、静かな時間が流れた。
2013年の初頭、アトリエを移転するため、クロも一緒に引っ越した。その後、体力が回復したクロを自宅に連れていって自室で飼うことにした。自宅なら両親もいるし、何かあった時も安心だからだ。
「自室はアトリエほど広くなく、私との距離が近いので、クロは緊張してまた隠れて。ある日、寝ているところをそっとなでたら、飛び起きてガーッと爪を立てられました。その時は、こんなに面倒みているのに、と泣きたくなりました」
次々に見つかった病気
心の距離がどうしても縮まらないのだ。それでも愛さんは、「苛酷な体験をしたからこそ」と思い、クロを見守った。ある時、クロが飲む水の量が多いことに気づき、病院に連れて行くと、糖尿病が見つかった。
「インスリン注射を始めて、しばらく元気にしていましたが、口内炎が悪化しました。徹底的に検査をすると、なくなったと思った歯が一本奥に残り、そこが化膿して腫瘍になっていたんです」
その時、大学病院で手術をすることもできたが、悩んだ末、その道は選ばなかった。
「成功の可能性が低い。人に虐待されて、人を恐れ続けるクロが、多くの知らない人の手で検査をされ、痛い思いをする。治療のためだとしても、クロにはつらいのではないかと。だから痛み止めだけ出してもらい、自宅で暮すことを選びました」
クロの晩年は、愛さんの両親も一緒に面倒をみた。
「痛み止めを与えながら、母と交代で世話をしました。クロにとっては邪魔かなあと思いながらも、一緒に過ごす時間を増やしたりして」
だが、クロはだんだん動けなくなり、ついに寝たきりになった。
最期の日の奇跡
やがて最期の日。両親にクロを見てもらい、愛さんが入浴から戻ると、動けなかったはずのクロが体を起こそうとしていた。まるで自分を探しているようだった、と愛さんは感じた。
「『ここにいるよ。愛してる』と声をかけて、前足を握ったんです。すると、クロはその後、息を大きく吸い、顔を下のほうに向けて眠りにつきました」
出会ってから4年。初めて体を触れさせてくれた日が、永遠の別れの日になったのだ。
「人生でいちばん温かな“握手”だった」と愛さんは振り返る。」
「甘えるでもなく、一生懸命に生きようとする姿に力をもらいました。あいさつするようにして旅立った姿も、武士のようでかっこう良かった……クロは私と出会って、どう思っていたかな」
人に裏切られた町で、優しき人に巡り合い、クロは幸せだったに違いない。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180204-00010001-sippo-life
でもそんな理由知りたくもない。
もし、それをやった人間が後悔の念に駆られていたとしても、言い訳を聞く気にもなれない。
ずっと、ずっと許されない罪に苛まされていればいいと思った。
クロちゃん、今度生まれて来るときは一生幸せな子に生まれてきてほしい。
愛さんお疲れ様でした。
でも猫を虐めると7代まで祟る、って言葉がありますね。
動物の病気は毎日よく見ていないと本当に分からない。喋れない分こちらが注意する事が大事ですもんね。
引き取られてからは幸せだったと思います。
お疲れ様でした。
ご冥福をお祈りします。
人間様?嫌いやわ?
なんと言うか…軽々しく言葉に出来ない想いです。
動物を嫌いでもいい。
でも、虐めたり虐待したり殺したり。
そこまでされるなんてあってはならない事!
同じ地球にいる命。共存しなくてはいけない命。
なのに消えない現実。
クロちゃんは氷山の一角。
今回の法改正にて、絶対に命として扱ってもらえないと本当に許せない!
みんなで力を合わせ、動物への法改正を訴えるしかない。
クロちゃんと他の無残に亡くなった子達の為にも!
特に猫さんは。
ごめんね。本当にごめんね。
ごめんなさい。
逆にクロちゃんも人がとてもとても怖かったでしょう。
けど、クロちゃんはきっと心のどこかで愛さんのことを信頼していて感謝していると思う。
次は幸せな猫生を生きてね、クロちゃん
そしてクロちゃんを虐待した奴に天罰を。
とても泣けました。
きっとクロは貴女の事を見守ってくれてると思います。そしていつか貴女もクロと再会出来るのでは無いでしょうか
クロが赦しても俺は赦さんぞ!
読みながら亡くなってた愛猫たちを思い出していました。どぶに落ちて泣いてた野良猫でしたが、そこから代々五匹飼いました。コメントでも野良猫を保護して飼っている人が多いですね。ペットショップで動物を売るのもやめたらいいのにと心底思います。
クロとの最初で最期の握手ができて本当に良かったですね。今も愛さんたちを空から見守ってくれているでしょうね。
でも、
実の子供ですら虐待する人間が多い昨今、ここまでなつかない元野良猫に惜しみ無い愛情を注ぐなんて、並大抵の人には出来ないことです。
そして愛さんの優しさに感動した。
うちでも犬を飼っていて色々楽しい思い出悲しい思い出はあるけれどクロは愛さんに保護されて最後は幸せだったと思います。
傷つけられてきたから自分を守るために引っ掻いたりしていたんだろうな。でも愛さんの想いが伝わったんだと思う。そして最期は愛さんを待って安心して天国に行ったんだと思う。
そいつに同じ目に合わせてやりたい。
愛を知らず
かけられた愛にもどう応えたら良いのかわからない
ただ応える度に相手を傷付けているようだ。
傷付いているのに何故俺に構う。
俺には分からない。
俺は疲れた
もう体も動かない。
結局、愛が何だかんだ分からずじまいか。
ああ
あったかいな、
コレが愛なのか
教えてくれてありがとう。
感謝する。
彼女は公園の野良猫にも缶詰を買って与えるほどのひとだ!タイの女性だけれど!
やはり名前もクロ!
最初は怖がって寄って来なかったが、トイレは自分でできた、ある日彼女が居ない時布団の上にオシッコした。
あまりにその姿が可哀想で優しく手を差し伸べたら少しずつなついて来た。
それからは俺が横になって居るとお腹の上に乗るようになり、ああ可愛がる気持ちが通じれば心を開いて懐いて来ると!
クロは歳で衰弱していた、ある日ユニットバスの床で亡くなっていた。
今でも写真は携帯で撮ってあるので、見るたび悲しくなる。
動物も1つの命を持って生まれて来てんだよ、看取れるまで責任持ちなよ!
絶対に愛さんをこれから先も見守ってくれるハズです。
最近亡くなってしまいましたが…
クロは、愛さんと出会えて本当に幸せだったと思います!
愛さんに出会えてなかったら、クロは人の温もりに触れることなく、この寒空の下1人でそっと亡くなっていたんだと思う…
クロにここまで心を許して接していた愛さんに感謝です!!