【日高彰の業界を斬る・13】 新元号の発表は、2019年5月1日の改元の半年前と言われていた時期もあったが、新聞報道によると、政府会合では改元1カ月前に発表する方針で固まったようだ。改元に関して合わせて話題に上るのが、情報システムの改修だ。民間企業の日常業務では西暦を使うことが多いが、官公庁、金融機関、公的機関に提出する文書等では、まだまだ和暦が使われており、日々の業務で使われているシステムが新元号に正しく対応できるかは、業種を問わずあらゆる組織における関心事になっている。
「そんなこと今から簡単に準備できるじゃないか。とりあえず“??”とでも表示されるようにしておいて、新元号が発表されたらそこだけ書き換えればいいのでは」
このように思う人は多いだろう。筆者もまさにそう考えていた。しかし、長年にわたって使い続けられているプログラムに手を入れるとなると、そう簡単な話ではないらしい。
マイクロソフトは、新元号対応に関する情報をまとめたサイト「Japan New Era Name Support Blog」で、「合字」の問題を指摘している。合字とは、例えば「平成」という複数の文字を、1字分の文字で記号のように表現したものだ。これは元号のほか、単位や法人格でもよくみられる。
同社によると、和暦の表示にこのような合字を使用しているシステムが「相当数存在」するという。国際的な文字コード標準化団体のUnicodeコンソーシアムでは、日本の新元号のためにコード位置を確保するようすでに提案が行われており、コード「U+32FF」が割り当てられる見込みだ。
当然のことながら、新元号の発表後にフォントのアップデートが行われるまで、U+32FFは字体が存在しない“空き地”だ。フォントを更新した環境では新元号が表示されるが、それ以外の環境では空白や他の記号などになってしまうだろう。
個人や限られた範囲で利用する文書ならともかく、役所や銀行が発行した書類の日付が「〓01年05月01日」というわけにはいかない。各端末のフォントのアップデートとテストだけでも、トータルの作業量はそれなりのものになりそうだ。
単に表示や印刷ができないだけではない。明治から平成までの合字はコード位置が連続していたが、その前後にはすでに別の文字が割り当て済みなので、新元号は飛び地に割り当てられている。西暦から和暦合字に変換する処理の中で、合字のコードが連番であることを前提にしたプログラムが書かれていた場合、複雑な改修が必要になる。
複数のデータを日付順に並べ替える、新元号を含むデータを検索するといった処理も、正しく動作しない可能性がある。
また、元々のデータが和暦で作成されていると、対応はさらにやっかいだ。日付を西暦でなく和暦で管理しているシステムが今どき存在するのか疑問だったが、朝日新聞の5月18日報道によれば、政府は「システム間のやり取りを西暦で統一するよう、関係省庁に中長期的な改修も指示した」といい、現在でも一部でシステム連携に和暦が使われているようだ。(古いプログラムでは現在もまれに昭和2ケタで日付を管理しており、3ケタにあふれる2025年の誤作動が懸念される「昭和100年問題」もあるという)
手書きの書類をスキャンして、文字認識によってデータを入力するような業務でも、認識エンジンの新元号へのチューニングが1カ月で行えるかはわからない。そのほか、新元号が3文字以上になったり、ローマ字表記の頭文字がこれまで略称として使われてきたM・T・S・Hと重複したりするかもしれない。
ここまで挙げたすべての問題は「あくまで可能性がある」水準のものだが、業務に使うシステムである以上、きちんとテストする必要がある。改修作業そのものよりも、検証により多くの手間と時間を要するケースも多いだろう。
また、国内では大企業も含めほとんどの組織が、情報システムの保守・運用を外部のITベンダーに委託している。仮に1件ごとの改修・検証は短時間で済むとしても、来年4月はベンダーに改修依頼が集中するため、案件をさばききれなくなるおそれはある。
「そもそも改元を想定していないシステムが悪い」「和暦でデータを入力するユーザーが悪い」といった意見はもっともだが、そのようなシステムやデータが現実に存在する以上、何とか対応しなければならない。エンドユーザーとしては専門家にまかせるしかないわけだが、単に設定ファイルに1行書き加えれば済むというものではないことは知っておく必要があるだろう。(BCN・日高 彰)
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180520-00000001-bcn-sci
みんなのコメント
国民生活の負担や影響を考えて、いつ頃迄には発表できるかを提言して貰いたかった。
「そもそも改元を想定していないシステムが悪い」。
その通りである。阿呆なんじゃないの。
「平成31年11月xx日」という現実には無い日付が記載されてますがな。
公文書としてどうかという事なら、これも再発行を受けねばならん。だから向こう数年の重複分は法律の改正で認めたらどうか。ちょうど新元号の9年までは平成3x年代の1桁が同じだから昭和の時より解り易い。
もちろん伝統としての元号は賛成だから、残すべきだと思うけど、このグローバル社会で正式な書類が元号な方がおかしい。
そういったことにかける労力や無駄な時間ひとつひとつが生産性のない時間。
もっと緊張感をもって取り組まないと、どんどん国際社会から置いていかれるのに、政府や無能公務員はここらへんどう考えてるの?
わからないなら、とっととクビにしやめろ!税金泥棒の連中。
そうでないなら、一カ月前発表に賛同した議員リストを出してみせてよ。後ろめたくないなら。
なんとなく(笑)
新元号、決まってるなら、発表してしまえばいいじゃないか。
1か月では間に合わないだろ。
カレンダーなんか1年半前に教えてもらえないと、対応無理らしいよ。
当然のようで、其れを稼業政治屋サンが、其れも行政権を掌握してい
る無能力者が混沌の元凶を? 僅か一ヵ月?で。 という異常事態で
すからね。
でもそれで誰も困らなかった。
コンピューターシステムは半年から1年かけて更新していた。
今回は発表を1か月早めたことで、改元当日までに改修しないといけないという勘違いをする人が増えてしまった。印刷業界、IT業界は助かるどころか逆に大変になってしまった。
大変さを理解してくれる顧客が増えるのはありがたいものです。
間に合わないというなら自業自得
文句は政府に言えよww
不満が募る方が天皇制や和暦への不信につながるんじゃないか
今のシステムのこと分かるわけない
行事や象徴的な事でのみ和暦を使うようにすればいいんじゃないか
この前テレビで今が平成何年かわからない人がたくさんいたから
そこまで和暦を用いる必要はないと思える
和暦でデータを入力するユーザーが悪い。
>「和暦でデータを入力するユーザーが悪い」
一番悪いのは、公文書で和暦を使い続ける奴と、それを強要する奴らだ。
職員は決算処理しながらの引き継ぎしながらの元号改正による改修契約&打ち合わせ&テスト
しかも1年じゃなくて元年表記なら余計時間かかりそう
元号の改定は予測されていて、そんなのを採用しているのが問題では。
多分、今までこうだった。帳票や画面のレイアウトが崩れる。とか
根本解決を行わなかったシステムは今回も改修にお金がかかるだろ。
それより、今まで帳票で元号を選択(〇をつけるとか)してたところは
元号の数が増えてレイアウトが大きく崩れ大変だと思う。
年 月 日
で書かれている書類はいいとしても。
出生届や病院の問診票等は昭和 S 平成 H では対応できなくなる。
その前にある程度の枚数をそろえておかないと赤子が病気になった場合カルテが混乱する可能性がある。
この一言に尽きる!!!
もちろん、日本独自の和暦を無くせとは言いません。
しかし、
公的機関での西暦和暦の混在は誤解を招きます。
来日観光客増やすんですよね??ならばなぜ公的機関に和暦表示をする?意味が分かりません。
運転免許証にしても、海外の免許証は身分証として使える場合が多いのに対し、日本の免許は和暦表示のため何にも使えず。
西暦表示が世界の主流な今、そして外国人も旅行や就労で増えている今、公的機関の和暦表示は弊害以外何物でもない。
西暦表示に統一して問題ないでしょうに。。
せめて「2018年(平成〇年)」で十分。
(いるのわかってて皮肉です)
新元号については、ギリギリまで公表しないという皇室典範が存在するから、それに完全に則れば、前日まで公表しない事になるから、譲歩ではあるんだろうけど・・・
元号が何になるかを詮索すると、その文字は元号として使えないとかいう縛りにも困った話で、詮索しないでくれと言ってる人いたなぁ。
エンジニアとしては、そろそろ公表してくれないと、直せないし、動作確認が出来ないから、大変な事になるよ・・・全く。
生前の御退位は意味があると思いますけどね。
天皇がご逝去されてから慌てなくてすむ。
なんで直前(1ヶ月前)なのかな??
今回の改元だって、システムやるのも大変だよ。
それは新元号も消費税変更も2000年問題も同様。
設定ファイルに新元号を追加したら、多少ドキドキして変更日を待つくらいw
あるとすれば、切り替わりのタイミングで「何かあったとき」に対応できる体制にしておくということだな。
怠慢でしょうねぇ
日本は元号ってのがあるの
分かってるのに変わることがある
前提でシステム設計しませんからね
明治、大正、昭和、平成で変わった期間を
考えたらと思うのですが…