「男児たるもの強くあれ」――。古くから日本男性は“男らしく”“強い”存在であるべきとされてきた。だがその対極といっても過言ではない言葉が「マザコン」である。かつてマザコンは女性から“男としてこれはない!”とされる悪条件の筆頭格であり、
他人から言われた場合、そのほとんどが蔑視と捉えられてしまうほどのネガティブワードだった。だが最近の芸能界では“ママ好き”を公言する男性タレントが増えてきており、“恥とされない”傾向に。その背景とは?
■マザコンという言葉を流行させ、国民に“狂気のマザコン”を植え付けた冬彦さん
不思議なもので、そもそも「父親が好きな娘」より「母親が好きな息子」のほうが印象は悪くなりがち。なぜ自分を産んでくれた母を好きなことがマイナスイメージにつながるのか。
これを決定づけたのは、1992年のドラマ『ずっとあなたが好きだった』(TBS系)の“冬彦さん”(佐野史郎)だろう。賀来千香子演じる主人公の夫で、東京大学出身のエリート銀行員。趣味は蝶の標本集め。
ストーカーでSM嗜好、極度のマザコンである。木馬にまたがって「うぅ~ん」と唸るシュールな場面もあり、そんな強烈なインパクトで同ドラマにハマる人が続出。“冬彦さん現象”なる言葉も生まれて大ヒットした。
だがこの冬彦、単なるマザコンとして扱うにはキャラが濃すぎる。冬彦さんのマザコンの象徴とも言える、故・野際陽子さん演じた母が息子・冬彦の血が出た指を吸うシーン。
これは半ばホラーであり、どちらかと言えば単に“奇怪な人間”“理解しがたい人間関係”などに“マザコン”という要素が乗っかっただけに過ぎない。
だが、これにより“マザコン”イコール“気持ち悪い”“奇怪”“異常性癖”などのイメージが世間に浸透したと言える。
「ただ冬彦さん以前にもマザコンキャラはありました」と話すのはメディア研究家の衣輪晋一氏。「例えば83年のドラマ『金曜日の妻たちへ』(TBS系)。
ここで泉谷しげるさんが演じた東彦も末っ子のマザコンでした。ラブストーリーにマザコンが登場するのは、女性が社会進出をし始めた80年代頃から。
時を同じくして女性の等身大目線のドラマが増加しています。つまり元々女性は“マザコン男性”にネガティブなイメージを持っていた。そして女性の声が重視され始めた80年代頃、それが表面化してきたという推測が成り立ちます」(衣輪氏)
■キスマイ宮田、坂口健太郎、山田涼介…超人気タレントが率先して“ママ好き”を公言
こうした背景もあり、タレントが“ママ好き”をわざわざ公言する機会は多くなかった。だが最近は、Kis-My-Ft2の宮田俊哉や坂口健太郎など、“ママ好き”を公言するタレントが増えている。
例えば宮田は、各番組で大好きな母親への思いを隠すことなく吐露。週一でご飯を食べたり、クリスマスにはサンタのコスプレをしてプレゼントを渡すこともあったほか、
『THEスターを作った母の魔法SP』(日本テレビ系)では、堂本光一好きの母親のために、美容院で髪を切る際に母が持参した堂本光一の写真の中から髪型を決めていたとも明かしている。
このような発言のあとは、バラエティ的に「マザコン!」といじられる宮田だが、母親の話題になると「ママの話と言えば俺だろ!」と自ら“ママ語り”を始めることも多く、まったく気にしていない様子を見せている。
坂口は、スマートフォンサービス『TONE』のCM「僕はマザコン篇」に出演。「僕はマザコン♪」という曲が流れる中、マザコン息子を好演し、
撮影後「母親とはすごく仲がいいです。お母さんのことが好きだし、“マザコン”というと変なイメージがあるけど、僕はマザコンだと思います」と話した。
他にも、南海キャンディーズの山里亮太も母親と料理教室に行くほどの仲良し。一人暮らしの家に母が訪れ、料理を作り置きしてくれるそうで、
そんな母と父親に山里は地中海クルーズをプレゼントし、「自慢の息子」と喜ばれた話をバラエティ番組やラジオなどで披露している。
また、Hey! Say! JUMPの山田涼介もセリフ合わせを母と行っていたことを雑誌のインタビューに答えており、母親との仲の良さを公言している。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180918-00000344-oric-ent
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