ディズニーやサンリオ、ドラえもんなど、これまで子ども向けと思われていたような商品アイテムを大人向けに開発し、「オトナ消費」を促してキャラクターグッズの売上を伸ばしたり、映画をヒットさせたりしているが、このような“オトナ化”に火が付いた状態にあるのが、誕生から22年が経った平成のキャラクター「ポケットモンスター(ポケモン)」だ。
ポケモンが一番盛り上がるのは、夏。1998年(平成9年)の「ミュウツーの逆襲」以来、ポケモンのアニメ映画が公開され、もはや風物詩となっている。今年(平成30年)も7月13日より21作目『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』が公開中。そんな夏に向けて、6月末より、300円アイテム中心の雑貨ショップ「3COINS」に、ピカチュウなどを少し大人向けにデザインした商品「Pokemon and 3COINS」が登場。駅構内やショッピングモールなどに出店する3COINSのメイン顧客は30歳前後の女性だが、瞬く間に人気となり、今月14日からは「1会計につき各商品各色5個まで」という購入制限を設ける事態となっている(8月3日までの予定)。
一方、大手書店チェーンの「くまざわ書店」では、今月からポケモンのオリジナルブックカバーをサービス中(一部店舗を除く)。文庫用と児童文庫・コミックス・新書用、それぞれ2種、全4種のデザインがある中、現在、最も人気で品薄なのは、「文庫用の青系カバー」なのだそう。
東京・八王子店によると「ポケモンのブックカバーもらえるんですか?と、目当てにご来店される方、店頭で知った方、ポケモンのことをよく知らないご年配の方にも、デザインが素敵と、ご好評いただいています。お子さんやお孫さんが好きだから、という方にも喜んでいただいています。意外だったのは、大学生以上の男性のお客様でご希望される方が多いこと。アニメ柄を全面に押し出すと子どもっぽくなってしまいますが、今回の文庫カバーは大人っぽい洗練されたデザインになっているので、抵抗なくかけていられるようです」。
同店で青系文庫カバーをかけてもらっていた20代後半の男性は、子どもの頃、ゲームの『ポケットモンスター 金・銀』(1999年11月21日発売)にハマっていたそう。その後、しばらくポケモンから離れていたが、昨年の映画が懐かしく思えて、友人と久しぶりに観に行ったといい、「去年の作品が面白かったので、今年の映画も同じ友人と観に行こうかと思っている」と話していた。
ポケモンの原点は、1996年(平成8年)2月27日に発売されたゲームボーイ用ソフト『ポケットモンスター 赤・緑』。翌年にテレビアニメが始まり、
98年から劇場版アニメがスタート。ポケモンで育った最初の世代は、20代後半から30代のオトナになっている。2016年に世界的大ヒットとなったスマートフォン向けゲーム『ポケモンGO』も多くのオトナが熱中した。
そんなオトナたちが映画に“戻ってくる”動きも昨年から加速。劇場アニメ20周年の節目に、テレビアニメ第1話のサトシとピカチュウの出会いを描き直した内容で、
“原点回帰”をした昨年の映画『キミにきめた!』は、5年連続で前作を下回り、劇場版シリーズ最低の興行収入21.5億円に落ち込んだ『ボルケニオンと機巧のマギアナ』(16年)から最終興行収入35.5億円にV字回復を果たした。
今年の映画『みんなの物語』でも“ポケモン回帰層”である“オトナ”を重視。前述の「Pokemon and 3COINS」やブックカバーのほか、昨年も話題になった四宮義俊氏(新海誠監督の『言の葉の庭』のポスターアートなどでも知られるアーティスト)によるスペシャルアートを劇場に掲出。東京、大阪、名古屋、福岡、札幌で計5回、大人試写会も実施した。
公開前夜の12日には、テレビ東京系で前作『キミにきめた!』の放送中に、「Twitter Periscope」上で生コメンタリー番組を配信し(中川翔子、ヒャダイン、岡崎体育、湯山邦彦監督が出演)、
ライブ視聴者(リアルタイム視聴)258万人(アーカイブ含めた18日時点の視聴者は328万人)、日本のトレンドに映画関連ワードが13個ランクイン、日本のトレンド1位に「#みんなの物語前夜祭」、世界のトレンドに「ピカチュウ」「バタフリー」「ヒトカゲ」がランクインと、盛り上がった。
『みんなの物語』は、13日の初日から4日間で動員約73万人、興行収入約8億3681万円をあげ、昨年の『キミにきめた!』(2017年7月15日公開)の初日4日間の成績を上回る(興収比較102.7%)好スタートを切った。海外でも人気が高いポケモンのオトナ化が引き起こすムーブメントに今後も注目したい。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180721-00000306-oric-ent
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