2011年のCDデビューから約7年。原宿文化の担い手として、日本はもちろん世界からも注目を集めてきたきゃりーぱみゅぱみゅ。当時は「尖っていた」という彼女も、今や25歳。一時は黒髪姿を見せただけで「落ち着いた」と言われ、辟易することも。音楽シーンの移り変わりに対する恐れ、炎上覚悟のSNS、そして新作アルバムに込めた思いを聞いた
■新たな挑戦にはバッシングも付き物、RADWIMPSやセカオワ批判への思いも
――4年ぶりのアルバム『じゃぱみゅ』が発売。この4年間で音楽シーンも大きく変わりましたが。
「流行の移り変わりはマジで怖いなと思います。芸人さんもそうですけど、去年までめちゃくちゃテレビで観ていた人が、全然出なくなったりするじゃないですか。音楽もそう。私は地味にやっていますけどね(笑)。
ただ、今回のアルバムには、今までにはなかった新しい要素も入っているんです。最初のころと聴き比べてみると、いい意味で大人っぽくなったというか。
『きみのみかた』もそうですけど、背中を押してあげられるような曲もあって。私自身もですが、新しい挑戦をするときは勇気がいるし、バッシングされちゃうこともあると思うんです。でも『行動してみないとわからないじゃん!』って伝えたいんですよね。
このアルバムの制作中も、RADWIMPSの『HINOMARU』の歌詞について議論が起きたり、SEKAI NO OWARIのツアーセットが女性軽視だと言われたり。『それってどうなんだろう?』という気持ちもありましたね。クリエイター殺しだなって」
――もの作りをするときに、先回りして規制するのはつまらないですからね。
「私も最初の頃は、無名だからこそできたこともあったと思うんです。今は小さいお子さんのファンもいるから、
『子どもに悪影響を与える』みたいなこと言われるかもしれないし、できるだけみんなが楽しめるものがいいなと思っています。
でも、アマノジャクだから『ビックリさせたい』という気持ちもあって…。後輩のバンドにも、『今のうちに過激なことをやったほうがいいよ』と言ったこともあります(笑)」
■原宿や渋谷からカルチャーが消えた?「全員、石原さとみさんかTWICEになりたいんじゃない?」
――黒髪になったこと、ほぼすっぴんでCMに出演したのも、驚かせたいということだった?
「18歳のときから7年間ずっと金髪だったので、単純に飽きたんです(笑)。でも、すぐに戻しちゃいました。『このままだと滅びる。私はやっぱり派手じゃなきゃダメ』って(笑)。
黒髪だと、街でもなかなか気づかれなくて、『世界から自分が消えちゃう、私のことなんか誰も知らないんだ』って勝手に思っちゃって。取材で『もう落ち着いたんですか?』と聞かれるのも面倒くさいし(笑)」
――きゃりーさんといえば原宿ですが、今も大事な場所ですか?
「そうですね。いまだに週4くらいで原宿にいるので。事務所もあるし、買い物もネイルも美容院も原宿。いろんな情報が飛び交っているし、個性的な人も多いから、やっぱり面白いなと思います。ただ雑誌の『KERA』『Zipper』が休刊になったり、
カルチャー的なものは少なってるかもしれない。藤田ニコルちゃんとも話していたんですが、原宿からロリータファッションの人も減って、渋谷からはギャルがいなくなった。○○系というものがなくなっているのかなと思います
。だからと言って、私ががんばって原宿を盛り上げようとするのも違う。今は全員、石原さとみさんかTWICEになりたいんじゃないかと思います(笑)」
■炎上しても週刊誌に追われても、「良くないことは良くないと言いたい」
――きゃりーさんは自分のことをすごく客観視していますね。
「そう思います。たまに『誰の話をしてるんだっけ? あ、私のことか』って(笑)。そんな感じだから、あまりヘコんだりしないんです。悩んだり病んだりすることも人一倍少ないと思う」
――最近はSNSに疲れて発信をやめる著名人も増えていますが。
「SNSをやっているといろんなことを言われるし、やめたくなる気持ちもわかります。私、SNSではみなさんと距離感が近い感じで発信することが多いんですよ。
だから『親近感が湧きました』と言ってくれる人もいれば、私を不思議の国の住人のように捉えている人もいる。それを思うと、どこかのタイミングでミステリアスな感じになるのもいいなと思っています。
椎名林檎さんやYUKIさん、安室奈美恵さんなどは私生活が見えないから、ベールに包まれているじゃないですか。それもやってみたいことのひとつですね」
――SNSを通して、しっかり意見を言っている印象もあります。
「それが原因で炎上したこともあるし、週刊誌に追われたこともあるけど、良くないことは良くないと言いたいんです。
それが、曲の歌詞にも反映されることもあるんです。『もんだいガール』『ファッションモンスター』もそうだし、今回のアルバムに入っている『とどけぱんち』もそう。私が思っていることを中田ヤスタカさんに伝えて、歌詞にしてくれるのは本当にあいがたいです。
きゃりーぱみゅぱみゅとしても私自身も、“自分の心に嘘なく生きる”がモットー。それはちゃんとできてるのかなと思いますが、変に毒舌おばちゃんにならないように気をつけたいです(笑)」
――最後に、きゃりーさんにとって最高な未来とは?
「まずはこのアルバムが爆売れすること(笑)。ホントにいいアルバムだからたくさんの人に聴いてほしいし、できればこだわって作った初回盤のブックレットも見てほしいです。あと、未来といえば、どんな時代でも一線で活躍している人はすごいと思うんです。
『紅白歌合戦』に出ることだって、ライブやフェスだって、決して“当たり前”のことじゃない。上りつめるだけじゃなく、
努力をしていかないとキープできないし沈んでいくと思う。こういう取材やテレビ、ラジオに出られることも、誰かが取ってきてくれた仕事なんだということを考えて、感謝したいです。
忙しかった5年くらいの間はそういうことに気づかなくて、何か尖っていたけど(笑)。次は26歳になるし、チームに感謝しながら進んでいきたいです」
(文:森朋之)引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180925-00000341-oric-ent
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