◆人生で一度は観ておきたい、永遠の名作刑事ドラマBEST10

1957年に放送された『ダイヤル110番』から約60年、正義のあり方をさまざまに提議してきた刑事ドラマ。”刑事の視点”を通して客観的に社会をとらえているのも魅力です。視聴者を引きつける刑事ドラマの中から、ドラマ史において新しい風を吹きこんだ一度は観ておきたいおすすめ刑事ドラマを放送順に紹介します。

◆1.脚本、音楽、カーアクション、刑事ドラマの先駆者『太陽にほえろ!』(1972年/日本テレビ系)

新宿の矢追町を管轄とする七曲署を舞台に、若い刑事の成長やベテラン刑事のみごとな捜査を一話完結で描いた昭和を代表する刑事ドラマ。

若い刑事を演じたのは萩原健一や松田優作、勝野洋といった人気俳優たち、熱い正義感と走り続ける姿が印象的でした。石原裕次郎、露口茂、竜雷太らベテラン刑事たちの人間性が生きた捜査手腕も見応え十分、足で稼ぐ聞きこみと名推理は時代を象徴する手法でした。

殉職、アクション、恋心など視聴者を引き込むすべての要素がふんだんに盛り込まれたエンターテインメント作品は最高視聴率40%をマーク、全718回の放送にも人気のすごさがうかがえます。刑事一人ひとりにテーマ曲が用意された贅沢さや「ゴリさん」「山さん」などニックネームで呼び合う親近感も見逃せません。

◆2.洗練された演出、究極の心理戦、小説のような味わい『古畑任三郎』(1994年/フジテレビ系)

田村正和演じる警部補の古畑任三郎が、犯人たちの功名な供述を、卓越した推理力や鋭い洞察力で切り崩していく三谷幸喜脚本の『古畑任三郎』。

はじめに犯人が明かされる倒叙のスタイルや終盤の暗転の入れ方など、古い作品を意識した三谷脚本の粋とOPの映像や音楽など洗練された演出は私たちを夢中にさせました。ファイナルを迎える2006年までに制作された42作すべてが傑作であることにも驚きます。

紳士的でユーモラスな古畑任三郎と、笑福亭鶴瓶、福山雅治、玉置浩二、松本幸四郎らが演じた誇り高き犯人たちによる巧みな駆け引きはドラマ史に残る名シーンばかり。

明石家さんま演じる弁護士と対決する法廷劇『しゃべりすぎた男』は、応酬する言葉が刺さり合う緊張感に息をのむ怪作、イチローが見事に犯人役を演じた『フェアな殺人者』も特別な作品です。

◆3.刑事ドラマの新しいスタイルを確立した『踊る大捜査線』(1997年/フジテレビ系)

サラリーマンから転職して刑事となった主人公・青島俊作(織田裕二)が、配属された湾岸署で柔らかい思考と揺るぎない正義感で、事件に挑む『踊る大捜査線』。

同僚をニックネームで呼ばない、警視庁を本店、所轄を支店と呼び、対立軸を徹底的かつコミカルに描いた新しい感覚は次世代に受け継がれます。

丹念に骨太に描かれた人間性豊かな登場人物たちが、展開するスピンオフや特番、映画作品では主役になることでも話題になりました。

架空の運送会社「カエル急便」やオリジナルのインスタントラーメンも登場し、いわゆる小ネタでも視聴者を楽しませます。「事件は会議室で起きているんじゃない!」「俺に部下はいない。いるのは仲間だけだ」「事件に大きいも小さいもない」など、忘れられない登場人物たちの言葉に心が動きます。

◆4.時代が抱える課題に果敢に挑む『相棒』(2000年~/テレビ朝日系)

警視庁の閑職とされる特命係の係長・杉下右京(水谷豊)が相棒とともにさまざまな事件を解決していく『相棒』は2007年スタート、国際問題から家族の身近な事件まで、時代が抱える課題を常に巧みに取り上げています。

いい人ではない杉下右京の一貫した姿勢と視点で独自に問題提議し続ける力は『相棒』ならでは。何度観ても飽きることなく楽しめる過去の作品の完成度にも注目したいところです。

たとえば、クローン人間の誕生をテーマに新しい命をめぐって杉下右京と神戸尊(及川光博)が対立する『罪と罰』(season10)。二転三転する展開と危機一髪に息をのんだ『バベルの塔~史上最悪のカウントダウン!』(season5)、小日向文世の怪演に見入った『密やかな連続殺人』(season4)などサイコパス、隠蔽される警察の不祥事、組織の暴走といったハードな内容のほか、『右京さんの友達』(season12)や『BIRTHDAY』(season11)など通い合う心を描いたやさしい物語もぜひ観てください。

◆5.すべての人間が怪しく映る極上のサスペンス『アンフェア』(2006年/フジテレビ系)
検挙率No.1の敏腕刑事・雪平夏見(篠原涼子)が劇場型犯罪に挑むスリリングな刑事ドラマ『アンフェア』。

1話完結が目立つ刑事ドラマですが、最終回まで「真犯人は誰なのか」視聴者を夢中にさせたという点、そして、原作の小説をベースにオリジナルのシナリオを広げていくことに成功したという点からも観るべき1作と言えます。

背負う現実の切なさに背を向け、容赦も躊躇もしない雪平の生き方は胸に迫るものがありました。二転三転する意外性と、すべての人間が黒幕に見える手法は抜群、極上のサスペンスを楽しめます。

◆6.圧巻のアクションで新風を吹き込んだ『SP 警視庁警備部警護課第四係』(2007年/フジテレビ系)

幼少期に両親を亡くしたことが原因で特殊能力を得た井上薫(岡田准一)がSPとして所属するチームとともにテロリストたちと繰り広げる闘いを描いた本格派アクションドラマです。

深夜のドラマに対するB級感的思い込みを完全に払拭させたこと、アクションに対する視聴者の意識を開花させたことからも必見の『SP 警視庁警備部警護課第四係』。

オーバーな表情やリプレイによる過剰さもなければ、派手な銃撃戦もない一見地味なアクションは、ひとつ呼吸を間違えれば致命的となる真剣勝負、圧倒的な身体能力と厳しい訓練に支えられています。手に汗握りながら、アクションの新しいおもしろさを体感してください。

◆7.受け継がれるべき刑事ドラマの原点に息をのむ『点と線』(2007年/テレビ朝日系)

心中事件に違和感を持ったベテラン刑事が、複雑に絡む事件の背景と真犯人にたどり着くまでの執念を丹念に追った松本清張原作の『点と線』。平成19年度の文化庁芸術祭賞 テレビ部門 ドラマの部の大賞を受賞しています。

正義を貫こうとする昭和特有の熱、ジリジリと犯人に迫る緊張感、駅、鉄道、家屋、黒電話、昭和30年代を生き生きと再現した映像が、時代の光と影を味わい深く映します。受け継がれるべきドラマづくりの魂がはっきりと浮かび上がる映像は記憶しておきたいところ。

小林稔侍、宇津井健、江守徹、池内淳子、市原悦子、樹木希林など実力派の存在感は圧巻、若き刑事三原紀一を演じた高橋克典の凛々しさも印象的でした。歩き続け、考え続けるベテラン刑事鳥飼重太郎を演じたビートたけしの巧さが光る傑作です。

◆8.人形町の風情と人間模様が切なくも美しい『新参者』(2010年/TBS系)

舞台は日本橋の人形町、新参者として赴任してくる刑事・加賀恭一郎(阿部寛)の活躍を描いた『新参者』、東野圭吾の人気シリーズが原作です。

クールな刑事ドラマが増えているなか、事件にかかわるすべての人に寄り添う気持ちに重きをおき、事件の真実に光を当てようとする加賀の信念を丁寧に描いた胸に染み入る人間ドラマ。繊細に描かれる人間の美しさは格別です。日本橋の粋と心地いい賑わいもみどころのひとつ、涙することもあればククっと笑うこともある、人間ドラマの醍醐味を堪能してください。

◆9.刑事ドラマを超えたスペクタルな世界観『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』(2010年/TBS系)

警視庁公安部が創設した「未詳」に配属された抜群の頭脳と特殊能力を持つガサツな当麻紗綾(戸田恵梨香)と筋肉派の無口な刑事・瀬文焚流(加瀬亮)が、サイコメトリー、未来予知、瞬間移動といった特殊能力「SPEC」がかかわる超常的な事件に挑み続けます。

壮絶な世界観は1999年放送の『ケイゾク』を継承、エンターテインメント性を存分に生かした映像と遊び心あふれる演出で、視聴者を引き込みました。

常識を超越した存在に挑む壮大なストーリーに心が震える一方、小ネタ満載で描かれるコミカルな日常には中毒性を感じます。絶妙なバランス感で魅せるセンスは秀逸。刑事ドラマの固定観念を取り払い、世界観を楽しんでください。

◆10.緊迫の心理戦と圧倒的な演技力が素晴らしい『緊急取調室』(2014年/テレビ朝日系)

取り調べのスペシャリストたちを描いた『緊急取調室』。憎悪や悪意、正義感が充満する狭い空間のなか、ギリギリの駆け引きが繰り広げられます。

中高年で結成された一見地味なチーム「キントリ」が、犯人を自白させようとあの手この手を尽くす必死さは時に可笑しく時に切なく、視聴者を飽きさせません。

心理戦を骨太に描く刑事ドラマは数多くありますが、阿吽の呼吸で生みだすプロフェッショナルなチーム力や中高年が育む友情、しゃれっけのある会話でエンターテインメント性を加味した点で本作は逸品。天海祐希、大杉漣、小日向文世、でんでん、田中哲司の演技力があってこそのおもしろさです。

◆名作続きの刑事ドラマ、見逃せない作品はほかにも!

あぶない刑事 [Blu-ray]BEST10には入らなかったものの、見逃せない作品はまだまだあります。

カッコよさを封印し人間味で勝負した『はぐれ刑事純情派』(テレビ朝日)は18年間続いた人気ドラマ。一方タカとユージ、主人公二人の生き方に憧れたファッショナブルな刑事ドラマ『あぶない刑事』(日本テレビ)やすべてが規格外だった『西部警察』(テレビ朝日)はカッコよさにこだわった刑事ドラマです。

また、華やか&ユーモア&視聴者をもあざむく手腕で話題となった『BOSS』(フジテレビ)や異常性のある犯罪に挑んだ『ストロベリーナイト』(フジテレビ)、未解決事件に特殊な手段で風穴を開けた『絶対零度』(フジテレビ)など女性刑事の活躍を描いたドラマも見逃せない素晴らしさです。


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みんなのコメント

 

名無しさん
「スケバン刑事」は ”刑事ドラマ”?
名無しさん
特捜最前線。1回の展開ではなく2回の展開がある。
あと、杉良太郎の大走査線。
昔のドラマ、最高!
名無しさん
田中美佐子主演の「眠れない夜をかぞえて」は面白かった。
もう26年も前のドラマです。
名無しさん
西武警察や太陽のほえろは、
あまりにも常識からかけ離れてる
刑事ドラマというよりもアクションドラマ
名無しさん
最近のばっかりじゃん・・・
名無しさん
私は渡辺謙さん主演のわが町が好きでした
名無しさん
「あぶない刑事」が好きでした。
また、ここには載っていないが、同じ柴田恭兵さん主演の「はみだし刑事」も好きで、楽しみに見てました。
最近は、はみ刑事も再放送がなくなりとても残念です。
相棒・・・と同様、再放送して欲しいです。
あぶ刑事の再放送も見たいです。
名無しさん
噂の刑事トミーとマツ
名無しさん
ダイヤル110番を見てみたい。
名無しさん
やっぱ刑事ヨロシクだろ
名無しさん
古畑任三郎はコロンボのパクりに一票。
名無しさん
瀬文の「当麻、来世で待ってろ」のシーンは未だに忘れられない。
強烈に印象に残っている。
BORDERの連ドラの最後のシーン、石川安吾が安藤の身体から手を引き離したシーン、絶品です。
小栗旬カッコ良すぎた。
続編期待しています
名無しさん
古畑さん。
名無しさん
個人的には子供の頃に見ていた桜木健一主演の「刑事くん」が一番かな
あとは国広富之と松崎しげるの「噂の刑事トミーとマツ」も好きだった
それと昔は嫌いだったけれど、年をとって来たせいか岡っ引きや同心が主人公の時代劇(「銭形平次」「新五捕物帳」など)も好きになってきたかなw
こういう捕物帳は、いわゆる江戸時代版の「刑事ドラマ」とも言えるよね
薔薇依存
『刑事貴族2』かな。
水谷豊演じる本城さんが好き。
沢口靖子
なんていうか・・・www
言える事は間違いなく、もう一度見たい
「刑事ドラマ」BEST10では無い。
浅すぎる。


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親父ノフ
筆者は若い人なのかな?太陽にほえろ以外、ここ10年の作品ばかり。
00000
マイナーだけど誇りの報酬をもう一度観たい。
名無しさん
やっぱり、刑事ドラマ=車かな。
あぶ刑事のレパード、西部警察のマシンXとか色々あるし、刑事貴族も主人公の愛車があった。
太陽にほえろは、トヨタの当時の新型いっぱい出てた。
名無しさん
やっぱりあぶない刑事でしょ。柴田恭兵のランニング・ショットが流れた日には大興奮!!
名無しさん
相棒は大好きです。
丁寧な言葉遣いで伝わる話し方だから人々を惹きつけていると思います。
げろげろQ
水谷豊さんの『熱中時代 刑事編』がよかったなぁ~~~。
ミッキー~~~~~~~~。
名無しさん
刑事くん、特別機動捜査隊、特捜最前線、七人の刑事・・・
二十一世紀に入ってからのものは・・・・
ヤマトトトヒモモソノミコト
色々皆さん思い出しますね!マイナーなところで、俺達の勲章、華麗なる刑事。松田優作と中村雅俊のコンビ、草刈正雄の赤のラムダに憧ました。毛色は違いますが、大映ドラマの秘密のデカちゃんも、わくわくして見ていました。
あほんだら
草刈正雄、田中邦衛の「華麗なる刑事」を知らないのかなみんな。
名無しさん
「アンフェア」はシナリオが雑すぎて何度も観るには堪えない作品だと思う。
ちょっとひと言
えっ80年代がゼロで殆どが2000年代?!何このランキング。いつの時代も…じゃないし。ライターは若い人なんだろうな…
TNT
DVDを所持してるが、特捜最前線は今見ても抜群に面白い
トゥットゥルトゥーン寺尾
大都会も西部警察も入っていないとは選者の目は曇りガラスなのか
名無しさん
何故Gメン75が無いの?
名無しさん
コメディ部門なら「噂の刑事トミーとマツ」か?
もぐもぐろ福造
藤田まこと主演の「はぐれ刑事純情派」は、犯人がたとえ、他人や物などに踏みにじるようなこと言うても、ほとんど暴力なんかしないな、
酷使無双
太陽にほえろ、西部警察、あぶない刑事
相棒、ハンチョウ
はぐれ刑事純情派あたりは
CSやBSでよく再放送しているけど
なかなかそういう再放送がないのが
さすらい刑事旅情編
はぐれ刑事とさすらい刑事で
テレ朝の水10は刑事ものっていう流れを作った
さすらい刑事の再放送も見てみたいかも
名無しさん
ランキングは難しいなー。
一時代を築いた西部警察やあぶない刑事よりSPECなの?
完全にこりゃ、好みだよな。
名無しさん
Gメン75かあぶない刑事かな?
名無しさん
特捜最前線が入らないのは、なんで?
名無しさん
『大都会PartⅡ』
『特捜最前線』
『大追跡』
『西部警察』
『Gメン’75』あたりを知らない世代の記者が書いたんだろうな。
刑事ドラマを語るなら上記のドラマは必須。
やり直し!
名無しさん
ケイゾクないからダメやり直し
名無しさん
Gメン75。
名無しさん
西部警察は外せないだろう。あと刑事貴族も入れて。あれ大好きだったんだ。
名無しさん
「ハンチョウ」とか「こちら本池上署」のTBS月曜日の枠も面白かった
名無しさん
平幹二郎と沖雅也の「はぐれ刑事」だ。
ホーンユキ、色っぽいぞ!
CHONGKUNDANG
夜明けの刑事、明日の刑事、トミーとマツも入れて下さいな。
TBSチャンネル2でやらんのがあかんわ。
この大映テレビの刑事ドラマこそ、魅力あると思うが。
名無しさん
鉄道公安官のホームタウン急行が耳に残ってる。スタハチもマイアミ・バイスも好きだった。
名無しさん
佐々木蔵之介のハンチョウ、リアルで好きなドラマの一つ。是非、復活を。
名無しさん
矢部謙三シリーズに、1票
名無しさん
Gメン75は!?(・_・;?
名無しさん
トミーとマツ
ウィキったら「噂の刑事 トミーとマツ」が正式タイトルだった。
オトコオンナのト~ミ~コ~!しか覚えてないけどw
ボテボテ
個人的には『はみ出し刑事情熱系』が一番かな。
『あぶ刑事』シリーズではスタイリッシュながら些か人情味に欠けるキャラを演じた柴田恭兵さんが、ガチガチに熱く人情派な刑事を演じたのは斬新だった。
しかも、曾ては柴田さんにシメられる様な役柄ばかりだった平泉成さんが、柴田さん達に慕われる理想の上司的ポジションを演じたのも感慨深かった。
名無しさん
西部警察、特捜最前線を推す

 


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