パチンカーにとって、久々にドキドキする出来事ではある。今月20日、「設定付きパチンコ」がホールに復活した。
パチスロと同様、店側が大当たり確率の“甘辛”を事前に設定できるというもの。1990年台半ばの大ヒット作「CR大工の源さん」や「CR花満開」などでも導入されていた。
今回が約20数年ぶりの復活。クギはイジってはいけない、という前提ありきでリリースが可能になった。
まず先陣を切ったのは「Pフィーバー革命機ヴァルヴレイヴW」(SANKYO)と「P弾球黙示録カイジHIGH&LOW ざわっ…Ver.」(高尾)のライトミドル2機種。ちなみに、機種名の頭が「CR(カードリーダー)」ではなく「P(パチンコ)」になっているのが既存機との見分け方だ。盤面表記に気を付けたい。
「ヴァルヴレイヴ」は設定が6段階あり、最低の「1」が159・8分の1、最高の「6」が119・2分の1。一方の「カイジ」は3段階で、「1」は199・9分の1だが、「3」はなんと99・9分の1で、もう甘デジ! この強弱の付け方は鮮烈。まさにハイ&ローの名にふさわしい。
もっとも、既存機の焼き直し。「ヴァルヴレイヴ」は導入も多いようだが、記者が出没するマイホールの設置はゼロ。仮にあっても、バラエティーコーナーに数台だけでは、設定にメリハリの付けようもなく、「設定1」の心づもりで打つしかないだろう。
海物語シリーズ(三洋)などのビッグネームで設定付きが導入されれば、動きは急変するはずだ。記者が本紙大阪発行版のパチンコ特集面を担当してから8年半。画一的なスペックに変化が生まれ、“書きがい”がある台は増えるだろう。
MAX機廃止、確率変動上限65%など、ファンには厳しい改正が続くなか、新風になることは間違いない。しかし、果たしてそれは順風なのか、逆風なのか。
昔と違い、現在のホールに出玉還元イベントは許されていない。設定看破には、パチスロ同様、実戦データの緻密な分析が必要になる。本紙実戦企画のナビゲーターで、サンテレビ(神戸)の「P・style パチンコ&パチスロ 実践TV」(金曜・深夜1時)
のMC・有井なつ実さん(27)は、設定導入にはやや懐疑的だ。「パチンコはパチスロより年配の方が多いので、ややこしくなることで、よりパチンコ離れが進みそう。心配ですね」と話す。
設定示唆のため、例えば大当たり消化後、液晶に特別な映像が現れるという演出もあるはず。「いつもは携帯を片手にプレーしていますが、見逃しは厳禁になるので、ボーッと打てなくなるのもネックです」と有井さん。
確かに疲れそう。勝つためには台の勉強が不可欠になることで、ライトユーザーが気軽に遊べなくなるだろう。好条件の捨て台をすかさず拾う、いわゆる「ハイエナ」も激化するはず。
運よく高設定濃厚台に座ったがために、ヤメるにヤメられず…という展開も考えられる。「設定6」の感触を得ていながら、台を捨てるのは勇気がいるが、パチスロと違って天井(大当たり確定回転数)がないので、好条件でも泥沼にハマりかねない。
もちろん、プレーヤー側だけでなく、設定を入れるホール側の“体力”も問われる。店の生き残り戦争はますます加速するだろう。
先月、IR実施法案(カジノ法案)が成立したばかり。業界は設定付きパチンコを起爆剤にしたいはずだが、各ホールが上手に使いこなせるまで、記者は当面、
「P」より「CR」の甘を打って静観を決め込むつもり。勝ち組に入りたいから…。パチンコ歴約30年の負け組だからこそ、新世紀の“革命”をじっくりと注視したい。(記者コラム・筒井 政也)
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180820-00000181-sph-ent
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