この夏注目の劇場アニメといえば、細田守監督作品の「未来のミライ」(東宝配給)だが、評判が芳しくない。たとえば、大手ポータルサイトの映画コーナーの評価は5点満点中2.55(25日朝現在)とビミョ~。
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観賞後のレビューにいたっては、「カネ返せ」「期待はずれ」「つまらない」などと辛辣なコメントが並ぶありさまなのである。■「全世代」「家族向け」と思って見ると…
物語はこうだ。フリー建築家の父と出版社勤務の母を持つ男児・くんちゃんは妹のミライちゃんが生まれ、独り占めしていた両親の愛情を奪われていじけている。
ところが、ひょんなことから時空を超える旅に出かけるうちに兄としての自覚が芽生えるという4歳児の成長記だ。だが、ファンタジー色の強い作品を期待すると大間違い。
共働き家族のリアルな現実も容赦なく描かれ、妻は「仕事も子育てももっとうまくできると思っていた」「気がついたら怒ってばかり」などと落ち込んだり、
夫に対して長男の子育ては「私に任せきりだった」と愚痴ったり。育児中の女性世代にとって胸に響くセリフは、男にとっては耳が痛いというわけだ。
映画ジャーナリストの大高宏雄氏は、「今作の着想は細田監督が自身の子どもへの強い思いからきていると思え、彼の極私的な作品にも見えた。
エンターテインメント性より家族ドラマの色を強くしたテイスト。個人的には非常に面白く見たが、『サマーウォーズ』(09年)や『おおかみこどもの雨と雪』(12年)といった娯楽テイスト満載の細田作品が好きな人は物足りなさを感じるかもしれない」と話す。
20日の公開からオープニング3日間の興行収入は5億円。ランキングも大ヒット中の「ジュラシック・ワールド」に次ぐ初登場2位につけたが、細田守最新作となれば、数字の評価も違う。
「最終で58.5億円をマークした前作の『バケモノの子』(15年)超えがひとつの目安となるが、出だしは“バケモノ”の興収比で70%に満たず、もう少しといったところ」(前出の大高氏)
「風立ちぬ」(13年)を最後に引退宣言(17年に撤回)した宮崎駿監督の後継者と目されている細田氏。それだけに、「『おおかみこども――』以降、ファミリー向け大作路線に転向したものの、ふたを開けてみればミニマムで私小説的な育児テーマしか作れていない。
いっそ後継者の役目はメジャー志向の強い『君の名は。』の新海誠監督に任せ、細田監督にはフレッシュな青春ものなど、客層は絞られても昔からのファンが期待し、定評ある分野の新作を手がけてほしいですね」(映画批評家の前田有一氏)。
ちなみに上映後、記者の隣の席にいた60代夫婦からはこんな会話が聞こえてきた。「面白かったわよねえ」と同調を求める妻に対し、夫は「何を面白いと思うかによる」とポツリ。たまの休みに家族全員で見に行くと、帰りはビミョ~な空気になりそうだ。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180726-00000012-nkgendai-ent
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