埼玉県北本市のラーメン店に勤務していた新入社員の男性=当時(29)=が2011年9月に急性心不全で死亡したのは、長時間労働による過労死だったとして、さいたま労働基準監督署が労災認定していたことが、4日までに分かった。男性は入社から約半年、正社員登用されてから3カ月で死亡した。直近1カ月の総労働時間は約257時間で、深夜労働による残業は約89時間、休日は1日しかなかった。
遺族や代理人の佐渡島啓弁護士(埼玉弁護士会)によると、亡くなったのは北本市に住んでいた片桐政男さん。松富士食品(東京都)が同市内で営業しているラーメン店「ドン―キタモト」に勤めていた。片桐さんは11年3月に契約社員として入社し、7月に正社員採用。主に調理業務に従事していた。長時間労働が続いた同年9月30日未明、深夜に帰宅した後、急性心不全により死亡した。
労基署の調査結果によると、片桐さんの死亡まで直近1カ月(8月31日~9月29日)の総労働時間は約257時間で、残業は約89時間。午後4時ごろから翌午前2、3時ごろまでの深夜業務がほぼ毎日続き、休日は9月12日のみだった。前月の総労働時間は約232時間、残業は72時間だった。
同店には従業員が10人ほどいたものの、常時いる正社員は1~2人で、片桐さんは新入社員にもかかわらず売上金の管理など責任のある仕事を任されていたという。
遺族は13年6月、死亡は長時間労働によるものとして、労働者災害補償保険法に基づき、さいたま労基署に労災と遺族補償年金を申請。15年3月、労災と認定され、支給が決定した。
しかし、労働時間の認定や支給額の算定方法に重大な誤りがあるとして審査請求。2度にわたって棄却されたため、昨年1月、支給決定処分の取り消しなどを求めて、東京地裁に提訴している。
代理人の佐渡島弁護士は「若い社員が頑張りすぎて、誰もブレーキをかけられず放置された。深夜のシフトは過酷であり、売上金の管理など相当の責任も持たされていた」と指摘。
「指導する側はしっかりと休ませたり、昼夜に適切なシフトを入れる必要がある。社員を育てるためというなら節度を持ち、どういう働かせ方がいいか考えてほしい」と話した。
松富士食品は「担当者が不在で答えられない」としている。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180704-00010013-saitama-l11
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