テレビ朝日が、女性社員がセクハラを受けていたと公表した会見。情報がほしい、もっと近づきたいという思惑が負い目となり、取材活動を通して記者が受けてきたセクハラは表面化してきませんでした。でも、変えなければ。6人の記者が、実態を話してくれました。【BuzzFeed Japan / 小林明子、伊吹早織、貫洞欣寛、籏智広太】凶器に使われた刃物の柄は、どんな状態だったのか。
絶対に他社に特ダネを抜かれたくない。そのために、女性は深夜のホテル街にいた。ほどよく酔っ払った警察幹部の男性と、ホテルに入る入らないで腕を引っ張り合い、押し問答をしていた。
「こんなネタのために、私、何やってるんだろう…」
財務省の福田淳一事務次官から女性社員がセクハラを受けたと、4月19日未明にテレビ朝日が記者会見で発表した。ある民放局の女性記者Aさんは、ふたをしていたはずの数年前の体験が脳裏に蘇り、会見を冷静に見られなくなった。
過去と向き合い、後輩記者たちが自分と同じ目に遭わないよう、報道の現場を変えたい。そんな思いから、BuzzFeed Newsに経験を話してくれた。
「見えない女子枠」があった
当時、配属されたのは、社内でも花形である警視庁記者クラブ。配属後の「1カ月ルール」というものがあり、1カ月以内に特ダネが取れなければ「飛ばされる」と聞いていた。担当チームで、女性記者は1人だけ。Aさんは女性記者から引き継ぎを受け、女性記者に引き継いだ。そこにはきっと「見えない女子枠」があったのだ。
Aさんは、事件取材をしたいわけでも、特ダネを取りたいわけでもなかった。テレビ局に入社したのは、ドキュメンタリーを制作したかったから。事件取材で頑張って実績を出せば、次のチャンスがもらえるはずだと信じていた。
実際、独自ネタをとったら、それを元に番組の企画枠を担当させてもらえた。目の前にぶら下げられた小さなごほうびが、Aさんをプライベートがほとんどない取材活動に駆り立てていった。
「もうレース感覚ですね。その日その日の運動会で、1位を取ろうと必死でした」
同時に、もう一人の自分が常にささやいていた。
「このレースのルールは、本当に公正なの?」
セクハラを笑って流せる娘キャラ
特ダネをとるためには、他社の記者がいないところで、警察幹部と2人きりで話す機会をつくらなければならなかった。
警察幹部を自社のハイヤーに乗せ、自宅まで送り届ける間、車内の後部座席で捜査情報を聞き出すことが多かった。普通に話をしていたのに、暗がりにさしかかった途端、手を握ろうとしたり胸を触ろうとしたりする人もいた。
運転手に昼食をおごり、不審に感じたら急に道を曲がったりカーラジオの音量を大きくしたりして雰囲気を変えてほしい、と頼んだ。
Aさんは、特ダネをとるためにどこまでするか、自分なりのルールを決めていた。
・男性と2人で話すのは、OK。
・2人きりでゴルフに行くのは、OK。
・2人きりで飲みに行くのは、OK。
・飲食店の個室に入るのも、OK。
・手を握られるのは、NG。
・キスをされるのは、NG。
・ホテルに行くのも、NG。NGラインに入りそうになったときは、「笑って流せるキャラ」を演じてかわしてきた。まさに、元日経新聞記者でジャーナリストの中野円佳さんが名付けた「コイツには何言ってもいい系女子」。下ネタやセクハラも冗談にして受け流すキャラのことだ。
万一、相手を不快にさせて、先輩記者から脈々と受け継いできた取材先との関係、つまりネタのパイプラインを絶つようなことは、あってはならなかった。
「最初は、とにかく特ダネがほしくて、どのラインまで許容するかを決める余裕すらありませんでした。女としてではなく、男キャラや娘キャラとして接すると、身を守りながらもガンガンネタがとれることがわかってきて、ここまでならOKというラインが見えてきました」
「ただ、それまでの自分とはまったく違うキャラに変わらなきゃと真剣に考えたのは、記者クラブの飲み会に出たことがきっかけです」
きれいごとではない現実
その飲み会でAさんは、思い出すだけで吐き気がするような酷い集団セクハラを、先輩や同僚から受けた。女性記者だけでなく若手の男性記者もいじられ、笑いながら耐えていた。このレベルのセクハラを笑って乗り切れないと、この世界にはいられないんだ。そう悟った。
「なぜ私はそこで、この世界で生き延びなきゃいけない、と信じ込んでいたんでしょうね…。就職を喜んでくれた親の顔や、ドキュメンタリーを撮りたいという夢、いろいろなことが頭に浮かんでいました。記者になってまだ何も成し遂げていないのに負けてたまるか! という気持ちも大きかったんだと思います」
2年半後。異動する自分の後任となる女性記者を同伴した飲み会で、Aさんは服を脱がされた男性記者を笑い、ひたすら盛り上げ役に徹していた。もうすっかり「この世界」に染まっていた。ふと気づくと、後任の女性が店から姿を消していた。
「いたたまれなくなったんでしょうね。今ならわかります。でもそのときに私が思ったのは『ヤバい。早く戻ってきてよ。相手を怒らせたらどうするつもりなの』でした。今となっては顔から火が出るほど恥ずかしく、申し訳ない気持ちでいっぱいです」
テレビ朝日が、女性社員がセクハラを受けていたと公表した会見は、Aさんに当時の不快感と罪悪感の両方を思い出させるものだった。生き延びるために、セクハラの被害者にも加害者にもなった。どんな場面であろうとセクハラは許されない、というのは正論だが、現実はきれいごとでは済まなかった。
「記者にも下心がある」
全国紙で警察を担当している20代の女性記者Bさんは、取材先との微妙な距離の取り方に、常に気をつけているという。「記者としては、ネタがほしいという下心があって取材先に近づいています。性的な関係になりたいわけじゃないけど、仲良くなって情報を得たいという微妙な思惑がある。だから自衛するしかないと思うんです」
スカートは絶対に履かないし、胸元があいた服も絶対に着ない。お酒を飲む量にも気をつけている。面倒なことになりそうだったら、トイレに駆け込んで先輩に『電話してもらえますか』と連絡し、呼び出されたことにして消える。
記者の仕事は、取材とプライベートの線引きが難しい。だからこそ、いざというときはネタ元を切ってでも、自分で自分の身を守るしかないと思っている。
女性記者は約2割
日本新聞協会の2017年4月の調査によると、加盟している新聞・通信社の記者数は1万9327人。そのうち女性記者は3741人で、全体の19.4%だ。管理職となると、女性の割合はますます少ない。
「この業界はどこまでいっても男社会で、上司も取材先も男性です」
10年ほど前、取材先の男性からセクハラを受けたという全国紙の女性記者Cさんは言う。セクハラ行為だけでなく、被害を新聞社の上司に訴えたときの対応に、深く傷ついた。
セクハラの加害者は、担当する行政機関の幹部だった。態度は常に紳士的で、いつも妻の話をする「愛妻家」。娘は自分と同い年だとも聞いていた。
この幹部と別の記者と3人で飲むはずの席で、もうひとりの記者が急に来られなくなり、2人きりになった。「珍しいビールがある。二次会はうちで」と自宅に誘われた。
家族がいると思って幹部宅に向かうと、家族は旅行中で無人だった。突然、幹部に後ろから羽交い締めにされた。突き飛ばしてなんとか逃れた。自宅に戻りドアを閉めた途端、涙が溢れた。
「その気にさせたお前が悪い」
翌日、職場の上司に相談した。「とにかくこの話は誰にも言うな。絶対に週刊誌にも言うな」。慰めるどころか、高圧的な態度だった。考えてもいなかった週刊誌へのリークの話までされて、呆然とした。後日、上司から「幹部と直接会って、話をつけてきた。『両想いだと思っていた。勘違いだとすると申し訳ない』と頭を下げてきた」と伝えられた。具体的に何をどう話をつけたのか、それ以上の説明はなかった。
次の春、この幹部は定年退職した。「無事退職できたのはあなたのおかげです」というメールを送ってきた。自分の行動に罪の意識があり、もしCさんが告発していたら懲戒処分は免れなかったということが分かっていたのだ。
合わせてCさんも転勤になった。職場の送別会の二次会で、上司は冗談めかして言ってきた。
「その気にさせたお前が悪い。そういうところは気をつけろ」
「上司に言ってもダメだったのだから」と社内で訴えることも諦め、すべてを心の中に封じ込めてきたが、今でも思い出すと、悔しさに体が震えることがある。
元毎日新聞記者の上谷さくら弁護士によると、セクハラの裁判では、加害者の責任はもとより、会社の対応のまずさが問われることが多い。使用者責任や安全配慮義務違反として、上司の対応などが厳しく判断される。
それはつまり、報道現場でセクハラが起こる構造的な背景が問われているということだ。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180421-00010003-bfj-soci
みんなのコメント
女だけではなく男も同じ
記者はプロ意識がないのか?
その記事でターゲットと家族を地獄に突き落とすことを思えば命がけでもいいのでは?
それを踏まえなくてはいけないけども、この件は
#metooじゃなく、ただゲスなだけ。
青山、初鹿、弥太郎、鳥越、蓮舫の秘書などパヨク界隈ではセクハラや強制猥褻に覚えのある面々が多いこと!
ブーメラン案件ではないか!
なんとでも主張すれば、一方的に騒いでまかり通る。
下衆マスコミが散乱している中、
マスコミは信用出来ない。
先ず、身内的な下衆を浄化すべきかと思う。
下衆マスコミさん!
そんな連中がいくら報道しても偽善にしか聞こえない!
それでも、強気で、いられるか。
楽しみだがな。
絶対に ないない 嘘つき
普通、特ダネを取れそうな時でも自分の仕事にプライドを持ってたら「やめて下さい!訴えますよ!」と良い席を立つくらいの態度を取れば良い。自分はそんなやり方では特ダネは取りたくない!と仕事に誇りを持てばセクハラだって無くなる。
身体を使わずに頭を使おうよ!
この部分は賛同できないな
特ダネがそんなに大事なのか?
特ダネより女性の人権そう考えた方がよっぽど健全だ
女性側が、積極的にノリノリで、エロ会話を振っていた可能性は
充分にある。
そもそもあの会話自体が、そういうお店での、
ホステスとの会話をつぎはぎしたものという可能性だってある。
むしろ、それを否定する根拠がない。
「悪魔の証明」でもそうだが、「ある」という側が
証拠を出すのが当然。あれが「ホステスではなく記者との会話」
だというなら、そうである証拠を出すべきである。
そういうお店での、ホステスとの会話であれば、
あれはセクハラでも何でもないぞ。
記者が、自社ではなく他社に話を持ち込まなければいけなかった朝日の体質こそが問題だろ
マスコミの使命など微塵も感じられない。セクハラを自社の利益や反安倍に使うからマスコミも野党も多くの国民からそっぽを向かれる。さらに欧米のセクハラに声を上げた人達と違い、日本のマスコミが取り上げるセクハラはなぜか記者やマスコミ関係者の女性。本当に逃げられない状況、職場の人間などからセクハラ被害を受けている人が声を上げられない状況をマスコミと野党が作り出している。
今のメディアでセクハラ我慢させてまで取って来いって言う内容は、そんなにも価値あることなのか?
悪いけど、モリカケ等のネタにどれほどの価値があるのか?
メディアで働く上司も部下も一度冷静になって考えて見ろよ!!
記者と取材相手が人間であり競争社会である限り絶対に無くならない。同性とかも関係ない。
一般市民からはこの記者ともども取材方法に対する信頼性を失ったし取材先にはもうどんなことを録音録画されるか分かったものじゃないからどんな取材をしようがもう二度と有力な情報は得られない。もう助からないよ。
取材する側が変わらんと駄目よ。
例えば常に記者は2人で行動するとかさ。
日本は本当にまだまだ男社会なのだ。
私は税理士だが、やはり若く女性であるだけで顧問先の経営者から~ちゃん等と呼ばれ、仕事にしてもいないうちから、もっとしっかりした先生にしてよ、と言われたこともある。
女性が男性と同じ土俵に立つだけで、男性の何倍もの努力を要する。
別に私が女性だからそう思う訳ではない。
日本はまだ明らかに、男性は女性に仕事で上に立たれる事を拒む傾向にある。
別に男性の場所を奪う気などない。
安心して欲しい。
一緒に効率的にやりたいだけ。
お願いだから協力してくれなくても良いから、邪魔までしないでくれませんか?
男女で行かせたらそれで終わり。
男性だけで行かせたら終わり。
取材が目的なのに何故一緒に個室で食事する必要があるのか?
自分達が会社からさせられて居たこと自体が、紛れも無くハニートラップ何だよ。
つまり女性記者が立ち上がるなら自分達の仕事を派遣した上司を訴えることで合って、
自分達が仕掛けたハニートラップにお偉いさんがまんまと引っかかったからそれがセクハラの証拠なんて本末転倒。
二人だけの時に寄り添ってそっと目を閉じたそれは、セクハラでは無く女が体を使って男を誘惑してるんだよ。
自分の苦しさ辛さを被害者のせいにして陥れることが正義なのか?
色々あるんだな
それをあの手この手で引き出してきたマスコミの手法が常時化した結果だろ?
パワハラやセクハラを誘発してきた側面もあると思うがな。
今回の事で改善はされても仕事はやりにくくなるだろうね。
大して付き合いもない新人記者に内部の情報なんてしゃべんないよね。
セクハラされるのも仕事と割りきってやってきておいて…
違和感というか、不快感というか。
既得権益にあぐらをかいたこいつらに真実を追求する気概はないとみた!
新聞屋は紙媒体とともに滅んで然るべきかもしれない
解体して再構築、いい部分だけ残ってさらに発達したらええ
自分で取材しない奴はもうクビでええんちゃうか!
腹の出たおっさんが邪魔や
勿論ハラスメントをする側が悪いのだけれども、受ける側もそれなりの防備をしなければ。特に強大な組織力と権力と同等かそれ以上の影響力を持つ一流報道関係にとっては容易なことだろうに。
あと普段倫理と正義を売りに商売している連中がそれをひっくりされたら弱いもろい。
ハニートラップ仕掛けてまで特ダネ欲しいのか。
それを強要させてるマスゴミが一番悪いんじゃねぇの?
で、マスゴミは麻生に叩いてる癖に、それの責任は誰がとったんだ?
まさか、とらない癖に自分らは叩いてるってのかい!?
この仕事に疑問を持つということは向いてないんだよ。
学校の勉強じゃルールを守って競争することしか学ばなかったんだろうな。
世の中そんなに甘くないよ。
この記事は長々とハニートラップに関して書いてるのかな?
metooとか綺麗事掲げても、
やってる事は女性性の押し売りなんだから、
説得力も正義もないよ。