助成金不正流用など12の疑惑で告発状が提出された日本ボクシング連盟(以下、連盟)をめぐり、山根明・連盟会長の強権的な影響力が次々と浮き彫りになっている。
アマチュアボクシング大会の選手宣誓では、必ず「山根会長のおかげで(勝てた)」との文言が入れられていたという。告発状の「告発人」である「日本ボクシングを再興する会」代表で、新潟県ボクシング連盟理事長の鶴木良夫氏は、「鳥肌が立つ」と不快感を隠さなかった。
■「優勝者インタビューで嫌というくらい言う」
岐阜市で2018年8月1日に全国高校総体が始まったアマチュアボクシング。2日放送の「とくダネ!」(フジテレビ系)では、連盟関係者の証言として、選手宣誓の枕詞には必ず「山根会長のおかげで」という言葉があったと紹介した。
「連盟」へのお礼でもいけない。山根会長個人に向けなければ、「俺はいろいろしてやったのに感謝がなかった」と不満を示すという。
スタジオでは苦笑しながら「本当なのか?」という声が漏れたが、ゲスト出演した鶴木氏は「全日本(選手権)とかも確認してみてください。100%本当です」と断言。さらに、
「もっとすごいのは、優勝者インタビューで嫌というくらい言うんですよ。『山根会長のおかげで優勝できました。ありがとうございました』と。ザワつきますね。鳥肌が立つ」
と強く不快感を示した。
言わざるを得ない雰囲気なのかと問われると、鶴木氏は「(連盟側から)監督に命じていると思う。すると(選手は)監督に言われますからね、これを言えよと」と見解を述べていた。
「引退に追い込まれた選手もいっぱいいると思う」
16年の国民体育大会(国体)では、宣誓した選手が「日々お世話になっている方々」に向けて感謝の言葉を述べ、山根会長の名前は出さなかった。
番組によれば、同選手は「山根会長に世話になっていないから言いたくない」と言っていたという。この選手は奈良県出身の選手との試合で敗れた。山根会長をめぐっては、自身と同じ奈良出身選手を勝たせるよう審判に強要する「奈良判定」の疑惑もある。
鶴木氏によれば、国体での成績はその後のボクシング人生に「大きく関わる」。「国体で実績を残せば、ナショナルチームで海外遠征などにも参加できますが、反対にそれがきっかけで引退に追い込まれた選手もいっぱいいると思う」と推測し、
「ここまでやっても勝てないのかと、それでも負けにされたら、やめるしかない」と、選手の立場を慮っていた。
不自然に選手たちがこうした言葉を発することは、スポーツライターの小林信也も7月31日の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)で指摘している。
「『精神的な利権』と言いますか、『山根会長のおかげで勝った』と言わないと選手が後で責められるとか、監督や組織の長が選手を支配するような気持ちがあって、これが一番選手にとってつらいことです」と話していた。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180802-00000016-jct-ent
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