先月末に放送が終了したNHK連続テレビ小説「半分、青い。」。全156回の平均視聴率が、関西地区で19・3%(関東21・1%)と20%を超えなかったものの、
最終回は関西22・3(関東23・5%)と“有終の美”を飾った。脚本家の北川悦吏子氏自身がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のツイッターに書き込むなどネット上でも話題に事欠かない異色の朝ドラだった。
■好演とノスタルジー
昭和46年、岐阜県東部の町で生まれたヒロイン鈴愛(永野芽郁)が病気で片耳を失聴するも、両親や幼なじみの律(佐藤健)に励まされ、
明るくたくましく生きる姿が描かれた。脚本を手がけたのは、「愛していると言ってくれ」や「ロングバケーション」などで知られ、“恋愛の神様”と呼ばれる北川氏だ。
永野の圧倒的な演技力は注目を浴び、ふとした目線や、スッと流れる涙などで心情が伝わった。
また、高度経済成長の後期から現代までを描く中、当時の流行をドラマに取り込む手法も見事だった。歌謡曲や漫画、バブル期のファッション、トレンディードラマの再現など懐かしさに包まれた視聴者も多かったはずだ。
■これぞリアリティー
SNSなどでも盛り上がる一方、ヒロインに共感できないという声もあった。
上京して漫画家を目指すも挫折、100円ショップで働き、結婚・出産、離婚を経て帰郷。岐阜で五平餅の店を開くが、また上京して起業する。
最後には、律とともに「そよ風の扇風機」を開発して大団円。「漫画家はもういいの?」「また仕事を変えるの?」「何がしたいの?」と疑問を持つ視聴者も少なくなかっただろう。
「朝ドラといえば、どんな艱難辛苦も乗り越えるヒロインの姿に、視聴者は涙を流し、応援しようという気持ちになるものが多い。でも現実は、誰もが成功者になり得るわけではない」
こう話すのは、元民放プロデューサーの影山貴彦・同志社女子大教授(メディアエンターテインメント論)。視聴者は、鈴愛を通して己を知り、厳しい現実を突きつけられる。「これぞリアリティー」と解説する。
また天才漫画家、秋風羽織(豊川悦司)や、漫画家を目指す鈴愛たちの姿からは、「作り手の苦悩が痛いほど伝わってくる。もの作りの厳しさが見事に描かれた」と評価する。
■人間賛歌
北川氏自身がツイッターに書き込んだことも話題となった。登場人物の心情を明かすなどし、“炎上”したことも。
影山教授は、「登場人物の気持ちなどは受け手(視聴者)が決めること。やりすぎた感は否めませんが、北川さんの計算のうちかも」と分析する。
それほどまでに視聴者は、鈴愛の人生や、律との恋愛物語に一喜一憂してきた。「恋愛は副産物で、クリエイターへの賛歌、母娘の愛などが根底に流れていた秀作。人間は完璧ではない、だからこそいとおしいという『人間賛歌』だった」と締めくくった。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181016-00000569-san-ent
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