長澤まさみの新「月９」は視聴率９・４％で幕開け→改めて堺雅人の演技力のすごさがわかった

伝統のドラマ枠が微妙な数字で幕を開けた。

９日に放送されたフジテレビ系「月９」ドラマ、長澤まさみ（３０）主演の「コンフィデンスマンＪＰ」初回の平均視聴率が２ケタにわずかに届かない９・４％だったことが１０日分かった（数字はビデオリサーチ調べ、関東地区）。

前クールの「月９」芳根京子（２１）主演の「海月姫」の初回８・６％を０・８ポイント上回ったが、昨年７月クールに大ヒットした山下智久（３２）主演「コード・ブルー―ドクターヘリ緊急救命―３ｒｄ　ｓｅａｓｏｎ」の同１６・３％に遠く及ばないスタート。この数字を聞いた瞬間、あるフジテレビ幹部の微妙な表情が頭に浮かんだ。

３月末に１時間に渡って話を聞いた同局の編成、制作、宣伝の総責任者である石原隆取締役編成統括局長（５７）。１９８２年から９３年まで１２年連続視聴率「三冠王」と栄華を極めたのも今は昔。現在、平均視聴率で民放キー局中４位と大苦戦中のフジの立て直しを任されたテレビマンだ。

昨年６月に就任した宮内正喜社長（７４）の「視聴率を上げて業績を回復する」という大号令のもと、この４月に全日（午前６時～深夜０時）２８・２％、ゴールデン（午後７時から１０時）２９・８％、プライム（午後７時～１１時）２９・５％という「史上最大の改編」を断行。復活に向けて動き出したフジ最大のキーマンこそ、石原氏だった。

「今、厳しい視聴率が出ているのは、フジと言えば、これっていう新しいものがないということ」。東京・お台場の同社取締役室でのインタビュー。石原氏は冒頭から危機感を露わにした。

３月いっぱいで３０年続いた「みなさんのおかげでした」、２２年続いた「めちゃ×２イケてるッ！」という看板バラエティー番組を一斉に終わらせたことについても「これまではフジのフラッグシップ、フジと言えばこの番組という看板番組には手を付けずにきました。

でも、今回は歴史的な使命を果たしたということで、終了していかないと、フジテレビは変われない、という判断になりました」ときっぱり。「これまで残す方がメリットがあるだろうと思ってきた老舗の番組たちも今回は改編の対象にしていこう。そう決めました」と正直に明かした。

「海月姫」、その前のクールの木曜１０時枠、浅野忠信（４４）主演の「刑事ゆがみ」など、ＳＮＳなどでの評判がとてもいい反面、数字が伸び悩んだ同局ドラマについて聞くと、「今、フジテレビという局でヒットを出すためには大きな努力が必要。

『海月姫』に限らず、そしてドラマに限らず、番組の不振というのは、視聴者がそれを見ようという動機がないからだと思います。内容がいいということはとても大切なことだけれども、厳しい言い方をすればプロとしては当たり前のこととも言えます」という率直な答えが返ってきた。

「ほとんど品質に差のない商品でも、売れる商品と売れない商品があるように、もうひとつ大切なのはそれを買おうという気になるかどうか

。番組もそれに似ていて、見るか見ないかが大事で、見れば面白いんです。『海月姫』だって現場の努力は素晴らしいし、苦労して、みんなが知恵を絞って作っていたのを知っています。だからこそ、お客さんにそれを見ようと思わせる、動機を作るってことはどういうことなんだろうと考えなければならない」と言い切った。

そんな石原氏が笑顔を浮かべたのが、「コンフィデンスマンＪＰ」への期待感について質問した時だった。

脚本を手掛けたのは「リーガル・ハイ」や「デート～恋とはどんなものかしら～」など同局で数々のヒット作を生んできた古沢良太さん（４４）。「古沢さんはフジテレビの制作チームと長年の信頼関係のなかで仕事をご一緒していただいている、と思っています。

クリエイティブというのは、非常にデリケートな作業で、しかもドラマや映画製作は共同作業という側面もあります。相互理解やリスペクトなしに成立することは難しいものです。古沢さんとは、そういう良い関係を築かせていただいていると考えています」と石原氏。

その上で長澤、東出昌大（３０）、小日向文世（６４）のすご腕詐欺師３人組が予測不能のトリックで各界のドンを相手に大金をだまし取るコンゲーム・ドラマの今作について、「面白いですよ。ごく控えめに言って、相当、面白いです。

古沢さんは『リーガル・ハイ』『デート～』にしろ、新しくて魅力的な脚本を書く作家です。毎回新しいジャンルにチャレンジして、テレビドラマの可能性を広げているような作り手です。今回も新しくて魅力的な番組に仕上がっています。そして、フジテレビのプロデューサーとそのチームとの信頼関係がそのクオリティーを支えています」と自信満々に続けた。

同作の制作陣と古沢さんの信頼関係には既視感がある。プロデューサー時代、三谷幸喜さん（５６）との盟友関係の元、「古畑任三郎」「王様のレストラン」など数々のヒット作を飛ばした石原氏の歩んできた道と、とても似ているのだ。

固い信頼関係で結ばれた三谷さんとの関係について聞くと、石原氏は「三谷さんはそうは思ってないかもしれませんけど。僕は一方的にそう思ってます（笑）」と照れ笑いを浮かべた。

確かに「コンフィデンスマンＪＰ」初回は石原氏の言葉どおり、面白かった。肩をはだけて日本刀を振り舞わす女博徒に、美脚全開のスチュワーデスと長澤のサービス精神満点のコスプレにも惹きつけられたが、何より映画「スティング」「マルサの女」など過去の名作に愛情たっぷりのオマージュを捧げた古沢脚本の遊び心もさすがの一言。

コン・ゲームもの特有のテンポとテンションに視聴者をグッと引き込むまでには至っていない気もしたが、そこはまだ第１回。今後に十分、期待を持たせる出来だった。

そして、この後、「みなおか」の後番組「直撃！シンソウ坂上」（木曜・後９時）が１９日から、「めちゃイケ」の後番組「世界！極タウンに住んでみる」（土曜・後７時５７分）が５月５日からスタートする。希代のヒットメーカーが編成トップとして、その感性で勝負をかけた“新生フジ”の４月新番組。お楽しみはこれからだ。（記者コラム・中村　健吾）

引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180410-00000110-sph-ent

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